プラごみ対策の国際条約づくりが山場 交渉は難航、合意期限は今年中

AI要約

国際条約作成に向けてプラスチックごみ対策が進行中。意見の相違がある中での交渉を通じ、各国が協力を強化している。

条約作成は2022年から続き、最終段階に差し掛かっている。難航する交渉の中で、ブラケット(保留事項)が多い現状も指摘されている。

夏ごろに追加の専門家会合が開催され、プラスチック化学物質の基準や途上国支援に関する議論が進められる見通し。最終合意に向けての課題が残る。

プラごみ対策の国際条約づくりが山場 交渉は難航、合意期限は今年中

 5月30日は「ごみゼロ(5・3・0)の日」。

 プラスチックごみ汚染に対処する国際条約作りが山場を迎えつつある。動きが本格的に始まってから約1年半。各国は年内にも条約内容の合意をめざすが、意見の隔たりは少なくない。世界は深刻化する汚染を止められるのか。

 「私たちはいくつかの共通点を見つけて、最後までこの道を共に歩んでいく。釜山でもこの精神を引き継ぎ、使命を果たすことができると確信している」

 4月にカナダのオタワであった、条約を議論する政府間交渉会合の後、ルイス・バヤス議長(エクアドル)はそう話した。

 条約づくりの動きが始まったのは2022年3月の国連環境総会。計5回の交渉会合を開き、24年中に条約内容をまとめることが決まった。カナダでの会合は4回目で、11~12月に韓国・釜山である会合が最後となる予定だ。25年以降に採択することになっている。

 各国はプラごみ対策の必要性では一致。特に積極的なプラごみ対策を訴える国は「高い野心連合」を結成し、2回目の会合の前には、日本も加わった。カナダでは最終会合に向けて条文案をどこまで整理できるかが焦点だった。

 だが、3回目の会合後に各国の要望を盛り込んだ条文案は全69ページにまで膨らんだ。議論に一定の前進はあったものの、期待されたほどでなかった。バヤス議長のコメントとは裏腹に、交渉は難航している。

 環境省海洋環境課の大井通博課長は「条文案が整理されたといってもブラケット(保留事項)だらけ」と指摘する。

 釜山での条文案のとりまとめにこぎつけるため、夏ごろにも追加で専門家会合を開くことが決まった。プラスチックに含まれる化学物質の基準や、汚染防止に向けた途上国への資金や技術支援について議論を交わす。

 大井課長は「5回目会合とその前に開かれる会議でどうやって収束していけるかにかかっているが、大変な作業になるだろう」と見ている。