慶応医学賞に斎藤通紀さんら iPS細胞から精子や卵子をつくる研究

AI要約

慶応医学賞に斎藤通紀教授とデミス・ハサビス最高経営責任者が選ばれた。斎藤氏は生殖細胞の研究で傑出した業績を挙げ、ハサビス氏は人工知能の分野で重要な成果を上げている。

斎藤氏はマウスのiPS細胞から精子や卵子をつくり、生殖細胞の研究を進めている。ヒトの生殖細胞の研究でも成果を上げている。

ハサビス氏は人工知能の分野で活躍し、囲碁AIの開発やタンパク質の構造を予測するプログラムを開発している。

慶応医学賞に斎藤通紀さんら iPS細胞から精子や卵子をつくる研究

 医学・生命科学の分野で優れた業績をあげた研究者に贈る今年の慶応医学賞に、京都大高等研究院の斎藤通紀教授(54)と、英グーグル・ディープマインド社のデミス・ハサビス最高経営責任者(48)が選ばれた。慶応義塾大学が発表した。授賞式は11月20日。賞状とメダル、賞金1千万円が両氏に贈られる。

 斎藤氏は、次世代に遺伝情報を伝える「生殖細胞」がどのようにつくられるかを分子レベルで説明する研究を進めてきた。試験管内でマウスのiPS細胞から精子や卵子をつくり、さらにマウスの個体まで育てることに成功。ヒトの生殖細胞の研究でも、iPS細胞から精子や卵子の前段階の細胞を大量につくることに成功している。

 ハサビス氏は、脳のはたらきをモデルにした人工知能(AI)の実現をめざし、ベンチャー企業ディープマインド社を起業。囲碁の世界チャンピオンに勝った囲碁AIの開発などを経て、生命活動に不可欠なたんぱく質の構造を予測するプログラム「アルファフォールド」を開発した。たんぱく質を構成するアミノ酸のならび順から精度よく構造を予測できるようになり、医学・生物学の研究に大きなインパクトを与えた。(野口憲太)