台風がまだ遠くでも注意 豪雨・雷雨・竜巻 スパイラルバンドとアウターバンドとは【暮らしの防災】

AI要約

日本を襲った台風の仕組みや影響についての基礎知識を解説。

東海地方での豪雨は、台風のスパイラルバンドやアウターバンドによる可能性がある。

台風の勢力は、風速と大きさに基づいて気象庁がランク付けを行う。

台風がまだ遠くでも注意 豪雨・雷雨・竜巻 スパイラルバンドとアウターバンドとは【暮らしの防災】

8月末~9月の始めにかけて日本を台風10号が襲いました。異例のノロノロ台風でした(ノロノロだった原因は次回)。8月から9月は、統計的にみて台風が日本に接近・上陸する数が多いシーズンです。近年は10月にも台風が上陸することがあります。そこで台風についての基礎知識を説明します。

 今回、なぜ東海地方では、台風が来る前に豪雨に見舞われたのでしょうか。それは、台風の仕組みを見るとわかります。

 台風の中心には「台風の目」があります。「台風の目」では風も弱く、雲も少なく晴れている場合もあります。

 その周りには、積乱雲による壁雲(アイウォール=eye wall)があり、雨はこの部分で最も強く降ります。

 この壁雲(アイウォール)に向かい、らせん状の積乱雲が連なっていて、この雲の群れを「スパイラルバンド」と呼びます。スパイラルバンドの下では激しい雨が降り続くことがあります。

 さらにその外側には「アウターバンド」と呼ばれる積乱雲の列があります。この下でも断続的に激しいにわか雨や雷雨になり、時には竜巻も起きるのです。

 今回、台風10号の中心から遠く離れた場所・東海地方で降った豪雨は、このスパイラルバンドとアウターバンドによるものと見られます。台風が接近する前でも豪雨に襲われる可能性があります。これが1つ目のポイントです。

 北西太平洋で発生する「熱帯低気圧」のうち、最大風速が秒速約17m以上になったものを「台風」と呼びます。他の海域では同様の気象現象を「サイクロン」「ハリケーン」と呼びます(風速の定義はそれぞれ違います)。

 気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として、「半径」と「風速」をもとに「大きさ」と「強さ」 をランク分けしています。

 「大きさ」は「強風域(風速15 m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径」で分けます。

 「強さ」は、風速でランク分けします。この2つの組み合わせ「大きさ」+「強さ(風速)」でランク分けします。例えば「大型」で「強い」などとなります。

 しかし、重要なのは、いずれにしても台風が接近すれば大変な状況になるということです。ランク分けはあくまでも目安で、被害の大きさを示すものではありません。

 かつては「並の大きさ」「弱い」などの表現もありました。しかし、これも「安心感を与えてしまう」「予断を与える」などの理由で、使われなくなりました。

 台風が接近すれば、その地域に大きなダメージを与えます。命を守るには、とにかく油断しないことが大切です。ここが2つめのポイントです。