美しすぎるクラゲから500万回再生の人気の深海魚まで、奇妙で不思議な深海生物たち

AI要約

海の生物に魅了される人々によって探検や研究が続けられてきた。海の未知の世界には、驚くべき生物や厳しい生存競争が存在する。

この記事では、色とりどりのハナガサクラゲや深海のコウモリダコなど、海洋生物の中でも特に印象的なものが紹介されている。

ハナガサクラゲは美しくも危険な存在であり、コウモリダコは吸血鬼のイメージを持つが実際には腐肉食動物である。

美しすぎるクラゲから500万回再生の人気の深海魚まで、奇妙で不思議な深海生物たち

 人は昔から海の生物に魅了されてきた。その点は、甲殻類や軟体動物をパピルスの巻物にスケッチしていたアリストテレスも、クラウドソーシングや遺伝子検査を駆使して新種のマンボウを見つけた現代の研究者も変わらない。

 海の生きものについて多くの著書があるエリック・ホイト氏は、「海は未知の世界です」と話す。「海を見わたせば、イルカやクジラは見えるかもしれません。しかし、その下で何が起きているのかまでは見えません。私たちが知っているのは、海中にいる動物たちのごく一部だけなのです」

 そこには、驚くような外見の動物たちも、生き延びるために苛酷な戦いを続ける動物たちもいる。ここでは、海を舞台に活躍する探検家や科学者が発見した動物たちの中から、とくに印象的なものを紹介しよう。

 日本、ブラジル、アルゼンチン沖などで見つかるハナガサクラゲは、学名をOlindias formosaと言う。ホイト氏は、色とりどりの鮮やかな触手を使って小さな魚をおびき寄せるのが特徴だと話す。モントレー湾水族館によると、最大で直径15センチほどになり、海底と沿岸部を行き来する習性を持つ。

 ハナガサクラゲは珍しいが、ブルームと呼ばれる大量発生が起きることもある。海水温の上昇によってエサが増えると、クラゲも増えるのだ。

 人がハナガサクラゲに刺されても致命傷になることはないが、かなり痛みは強く、かぶれることもある。この美しくも危険なクラゲは、アートの題材になることがある一方で、アルゼンチン沖では遊泳者に対して警告が発せられている。

 コウモリダコは、英語では「吸血鬼イカ」という。しかし、何十年も頭足類(イカ・タコの仲間)を研究してきた米モントレー湾水族館研究所の上級科学者であるブルース・ロビンソン氏によると、実際には血を吸うこともないし、イカの仲間でもない。

 ではなぜ、このおとなしい深海の腐肉食動物が吸血鬼イカと呼ばれるようになったのか。1903年にはじめてこの表現を使ったのは、ドイツ人頭足類学者のカール・チュンだ。彼が命名した学名「Vampyroteuthis infernalis」には、「地獄の吸血鬼イカ」という意味がある。

「赤い目にマントという姿なので、『吸血鬼のようだ』と思ったのでしょう」とロビンソン氏は言う。「少しばかり冗談を込めた名前だったのです」

 コウモリダコが好むのは、血ではなく「マリンスノー」だ。これは、海中を沈んでいく雪のように見えるが、実際には藻類、プランクトンの死骸、糞便などの有機物でできている。

 ただし、この小さな頭足類をあなどってはいけない。コウモリダコは、腕の先にある孔から蛍光性の粒子を含む粘液を放出できる。これで自分の体を包み、光る雲のようになって捕食者を避けるのだ。