紅麹問題で注目された「ファンコーニ症候群」とは?…抗がん剤や抗ウイルス薬、抗菌薬、抗てんかん薬によって発症することも

AI要約

小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントによる健康被害問題では、腎臓の尿細管がダメージを受け、「ファンコーニ症候群」が注目されています。

腎臓の主な役割や内部構造、尿の生成過程、尿細管の再吸収機能について説明されています。

「ファンコーニ症候群」の原因として、特定の病気や薬副作用が挙げられ、病気や薬物についての詳細が述べられています。

 小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題では、腎臓の尿細管がダメージを受け、体に必要な電解質などを再吸収できなくなる「ファンコーニ症候群」が注目されました。薬の副作用などのほかに自己免疫疾患や血液がんが引き起こすこともあります。(松田俊輔)

 腎臓は腰の上辺りに左右一つずつあるソラマメ形の臓器で、大人の握り拳ほどの大きさがあります。血液中の老廃物を取り除いて、尿として体の外に排出するのが主な役割です。

 内部には、毛細血管が球状に集まり、血液を濾過(ろか)する「糸球体」が約100万個あります。ここで尿のもとになる「原尿」が作られ、「尿細管」から体外に排出されます。

 糸球体で血液はふるいにかけられ、粒の大きい赤血球やたんぱく質などは血液に戻りますが、粒の小さい物は原尿として尿細管に送られます。老廃物や塩分だけでなく体に必要な電解質や栄養分も含まれます。

 尿細管は原尿からカリウムやリンなどの電解質や水分、ブドウ糖やアミノ酸などの栄養分を再吸収し、毛細血管に送ります。1日に作られる原尿は150リットルほどですが、尿として排出されるのは1・5リットルほどで、99%が再吸収されます。

 尿細管の細胞の中で、糸球体に近い部分が何らかのダメージを受け、再吸収ができなくなるのが「ファンコーニ症候群」です。

 詳しい仕組みはわかっていませんが、特定の病気が引き起こしている場合のほか、薬の副作用によって発症するケースが多いです。

 関与する病気には、尿細管の周囲の部分が炎症を起こす間質性腎炎、血液のがんの一つである多発性骨髄腫、免疫に異常が起きる難病・シェーグレン症候群などが挙げられます。

 薬が原因のケースは「薬剤性」と呼ばれ、特定の抗がん剤、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗てんかん薬などを一定期間服用した場合、発症するリスクがあることが知られています。カドミウムや鉛などの重金属が引き起こすこともあります。