「発明王エジソン」が惜しくも発明者の名前を逃していた「意外なもの」

AI要約

「学び直し高校物理」は、物理に挫折した人にもオススメの読み物形式の教材で、電磁気学編から、電流・電圧・電力​​について詳しく解説している。

エジソンの名言や発明の裏話、科学者としての一面を紹介しながら、エジソンの人生から学ぶこともできる。

エジソンの努力や失敗から、物理への取り組み方や科学者としての在り方について考えさせられる内容となっている。

「発明王エジソン」が惜しくも発明者の名前を逃していた「意外なもの」

物理に挫折したあなたに――。

読み物形式で、納得! 感動! 興奮! あきらめるのはまだ早い。

 大好評につき5刷となった『学び直し高校物理』では、高校物理の教科書に登場するお馴染みのテーマを題材に、物理法則が導き出された「理由」を考えていきます。

本記事では電磁気学編から、 電流・電圧・電力​​についてくわしくみていきます。 ※本記事は田口善弘『学び直し高校物理 挫折者のための超入門』から抜粋・編集したものです。

 エジソンは、子ども向けの偉人伝に必ず登場する、知らない人はいないくらい日本では有名な人物だ。

 「発明王」として知られるエジソンが遺したとされる「天才とは99%の努力と1%のひらめきである」という名言は、コピーライターでも思い浮かばないような傑作だし、「失敗なんかしちゃいない。うまくいかない方法を700通り見つけただけだ」なんていうのは、すごい努力家でかつ負けず嫌いだったことを窺わせる、いかにもエジソンが言いそうなセリフだ。

 エジソンというと、蓄音機とか白熱電球とか成功したものばかり有名だが、実際は惜しいところで発明者の名前を逃した例も結構多い。たとえば、電話はグラハム・ベルが発明者ということになっているが、エジソンも電話の開発に熱を上げていた。かなりいいところまで行っていたが、最終的に、電話そのものの特許を取ったのはベルであった。

 エジソンは科学者というより技術者、技術者というより実業家というほうが正しかったようで、電話というシステムに対するエジソンの技術的な最大の貢献であるカーボンマイクロフォンも、実はほぼ同時期に同じものを発明したヒューズの功績にカウントされることが多いという。

 エジソンは、いまでいうところの発達障害児であったといわれていて、小学校を3ヵ月で飛び出し、以後、正規の教育は受けていない。そのため、物理や数学の理論は正確に理解していなかったといわれる。当然のことながら、電磁気学の理解も十分でなかっただろう。

 この「科学者<技術者<実業家」というエジソンの属性は、数万回ともいわれる実験を繰り返し、白熱電球に最適なフィラメントの素材を見いだすことを成功させると同時に、後に若き天才物理学者ニコラ・テスラとの「交流・直流」をめぐる死闘で、自分自身に向かって牙をむくことになる(『学び直し高校物理』Chapter14)。