休日に限って早起きの子ども、一体どうして? 識者が指摘する意外な理由と対策は

AI要約

子どもが休日に早起きする理由として、ストレスが影響している可能性がある。ストレスにより脳の覚醒ホルモンであるコルチゾールが正常に分泌されず、朝に低コルチゾール状態になることが挙げられる。

休日に早起きするもう一つの理由として、週末にお昼寝時間が長くなることがある。そのため、早起きしてもトータルの睡眠時間は帳尻が合っている可能性がある。

子どもの良い睡眠を促すためには、毎日同じ時間に起きて体内リズムを整えることが重要。朝に光を浴びることや電子機器の利用を避けることなどが睡眠改善に役立つ。

休日に限って早起きの子ども、一体どうして? 識者が指摘する意外な理由と対策は

 「お休みの日くらいゆっくり眠りたい…」。そんな親の願望をよそに、平日全然起きない子どもが、休日に限って早起きをするという経験はないだろうか? なぜ、このようなことが起こるのか。子どもの睡眠に詳しい一般社団法人・こども睡眠カウンセラー協会(大阪)代表の秋山信子さん(49)に、その理由と、どうすればぐっすり眠ってくれるのか聞いてみた。

 こども睡眠カウンセラー協会でも、子どもの睡眠相談を受ける際に「休日に限って早起き」という話題が保護者から出るそうで、2~5歳の就学前の子どもに多いという。「平日に起きられない原因はストレスかもしれません。『子ども=ストレスがない』というのは誤った思い込みです」と秋山さん。朝、すっきり起きるためには脳を覚醒させる「コルチゾール」というホルモンが必要になる。ところが、コルチゾールはストレスから私たちを守る役割もあるため、日常的にストレスがかかりすぎると分泌され続け、肝心な朝に低コルチゾール状態になってしまうそうだ。

 「特に頑張り屋さんや繊細な子の場合、ストレスが影響しているかもしれません」と秋山さん。また、コルチゾールは夜になると減っていくのが正常だが、乱れると分泌され続けてしまい、寝つきが悪くなるという負のスパイラルに陥るそうだ。

 では、なぜ休日に早起きをするのか―。「休日に楽しいことが待っていると思うことで、精神的なストレスが減り、コルチゾールが正常に出ている可能性があります」。子どもたちがお休みの日へのわくわく感から早く目覚めているのかもしれないと思うと、「なぜ休日に限って!?」というわが子への不満も減ってこないだろうか。

 元保育士でもある秋山さんが考えるもう一つの理由として「週末になると疲れからお昼寝時間が長くなる子どもが多かったように感じます。もしかしたら、昼寝が長い分、早起きになっただけで、トータルの睡眠時間は帳尻が合っているかもしれません」と教えてくれた。

 親としては「どうすれば休日長く寝てくれるのだろうか」と考えてしまいがちだが、大切なのは「平日、休日関係なく、毎日同じ時間に起きて、体内リズムを整えること」だそう。秋山さんによると、睡眠を促すホルモン「メラトニン」は、起床時間から子どもは14時間後、大人は16時間後に分泌されるそうで「夜の睡眠は朝から始まっています。逆算で考えなければいけません」と説明する。

 体内リズムを整えるには、まず朝の光を浴びることが大事になる。「わが家ではベランダに出るなど、直射日光を浴びるようにしています。500ルクス(=昼間のオフィスくらいの明るさ)以下は、睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されてしまう明るさ。覚醒度を上げるには、それ以上の照度が必要になります」。窓から1メートル以内の場所で朝ご飯を食べたり、身支度をしたりすることがお勧めという。

 子育てで頼ってしまいがちなアイテム「スマートフォン」「タブレット端末」といった電子機器も、睡眠に悪影響を及ぼすという。電子機器の強い光は、メラトニンの分泌を抑制してしまうそうで「午後6時以降は見ないのが望ましいですが、難しければ、まず寝る1時間前は見ないようにすることから始めましょう」。その分、一緒に絵本を読んだり、お絵描きをしたりして、しっかり親子のコミュニケーションをとる時間に充ててほしいとも呼びかける。

 とはいってもこれからの時代、電子機器を一切使わないのは不可能だろう。子どもたちに「使ってもいいよ」と気持ちよく言えるためには、家庭内でのルールづくりが重要になる。「『これをした後なら何分はいいよ』とか、時間の概念がまだ分からないお子さんには『この音楽が鳴っている間はいいよ』といった工夫をしてほしい。小さなお子さんはまだ依存性が低いので今がチャンスです」と提案する。

 秋山さんは睡眠のリズムを整えることは「子どもの自律への一歩」とし、「しっかり睡眠がとれていれば、親に起こされなくても自分で起きられるし、時間の管理など自分をコントロールすることができる。睡眠を軸にした生活を幼少期から習慣づけてもらえれば」と話す。