塗工紙抄紙機停止へ 来年3月末 王子製紙苫小牧工場

AI要約

王子ホールディングス(HD、東京)と王子製紙(東京)は20日、苫小牧工場で塗工紙や微塗工紙の製造を終了し、抄紙機1台を2025年3月末で停止すると発表した。

新聞用紙と段ボール原紙の生産に集中し、従業員数に大きな変更はないが、生産効率の改善や固定費の削減を図る。

抄紙機の停止により生産体制を再構築し、将来の成長が見込める事業にも取り組む苫小牧工場の動きを報じた。

 王子ホールディングス(HD、東京)と王子製紙(東京)は20日、王子製紙苫小牧工場(苫小牧市王子町)で塗工紙や微塗工紙を製造する抄紙機1台を、2025年3月末で停止すると発表した。同工場で塗工紙の生産を終了し、抄紙機は新聞用紙と段ボール原紙などが中心の6台体制になる。従業員約550人体制に大きな変更はない。全国的に印刷用紙の需要が減る中、固定費の削減や生産効率の改善を進める。

 停止するのは1957年から稼働していた9号マシン。新聞用紙が主力の同工場にあって、出版業界の雑誌ビジュアル化や、商業印刷物の多色化の進展などを踏まえ、86年に同機を改造・更新した。主に紙の表面に塗料を塗った塗工紙や微塗工紙を製造し、現在の生産能力は年間約8万3000トンだった。

 塗工紙などの生産は今後、自社内の他生産設備に振り替えていく方針。同機を担当していた従業員は、工場内の配置転換で雇用を維持する方針で、王子製紙は「(これまでの業務に)近いところで吸収できる」とする。同機の今後の活用方法などは未定としている。

 王子製紙の飯塚裕之管理本部長は「新聞用紙や(コピー用紙などの)グラフィック用紙の需要は2006年ごろがピーク。需要の変化を見極めながら、抄紙機停機の検討をしてきた」と需要動向を踏まえて決めたことを説明する。

 苫小牧工場の生産能力は現在、新聞用紙を中心に年間約65万トン。同機の停止に伴って生産効率をさらに高める考えで、同工場全体の稼働率も現在の約85%から約90%に引き上げる。

 同工場は今年2月にも、昨年10月に火災を起こして稼働を止めていた抄紙機1台を正式に停止するなど、紙需要が減る中で生産体制の再構築を進めている。一方、今年5月に合成メタンの製造に向けた検討を始めるなど、将来成長が見込める事業に着手している。