「夢のつり橋」への道崩落、紅葉前に痛手 川根本町・寸又峡温泉街 観光業から不安の声

AI要約

寸又峡温泉の温泉街から夢のつり橋までの遊歩道が大規模な落石により閉鎖され、地元観光業者が不安を抱いている。

落石は風化による崩落が原因で、紅葉シーズンには10月末までに仮復旧を目指すが見通しが不透明。

観光スポットである夢のつり橋が不通で宿泊客のキャンセルが相次ぎ、地域経済への影響も懸念されている。

「夢のつり橋」への道崩落、紅葉前に痛手 川根本町・寸又峡温泉街 観光業から不安の声

 川根本町千頭の寸又峡温泉の温泉街から「夢のつり橋」までの間の遊歩道をふさいだ大規模な落石を受け、町役場職員らが19日、現場ののり面や崩壊箇所を調査した。町は本格的な紅葉シーズンを前に、遅くとも10月末には仮復旧を完了したい考えだが、見通しは不透明だ。現地の旅館では宿泊のキャンセルが相次ぎ、観光業者から不安の声が上がっている。

 同町によると、落石は地上から約40メートル上方ののり面が風化で崩落したことで発生したとみられる。幅3メートルを超える岩や多量の土砂が道路上に約15メートルにわたって広がっているという。町は今後も調査を続けて工法を検討し、1週間以内には土砂の撤去を開始したい考え。企業版ふるさと納税を通じた災害支援の寄付の受付も開始した。

 寸又峡温泉周辺は例年11月に紅葉が見頃を迎える。旅館「翠紅苑」の望月孝之会長(78)は「10、11月の収益は年間の3分の1を占める。地域経済のためにも早期の復旧が必要」と懸念を示す。つり橋が不通になっていることを宿泊予約客にメールで伝えたところ、既に3割程度の予約がキャンセルされたという。

 エメラルドグリーン色の湖面が特徴の夢のつり橋は近年「インスタ映え(写真映え)」するスポットとして、外国人や若者からの人気も高い。つり橋の不通を知らずに観光に訪れたネパール人の会社員ラミチャネ・サチンさん(25)=静岡市駿河区=は「つり橋を撮影した友人のインスタグラムを見て来た。母国の家族に写真を撮って見せたかった。また訪れたい」と残念がった。

 現場付近は2022年秋の台風15号の被害でも通行止めになり、通行再開に約4カ月を要した。