沖縄から米英名門大へ2人合格 「母の難病治したい」カリフォルニア大へ 「生物ヒントに暮らしに役立てる」世界大学ランク2位の英国名門大へ

AI要約

沖縄県出身の2人の19歳が、それぞれ米国と英国の名門大学に合格した。宮古島出身の荷川取美佑さんは医療の格差解消に情熱を燃やし、米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校に入学。一方、今帰仁出身の小川賢さんはインペリアル・カレッジ・ロンドンに進学し、人工素材を研究して暮らしに活かすことを目指す。

荷川取美佑さんは医療機器開発の知識や技術を学ぶために留学を決意。母の難病をきっかけに医療の道を志し、医療格差の解消に貢献したいと意気込む。一方、小川賢さんは自然界の素材を研究し、生活に役立てる素材工学科に進学することで、地元での活動や研究への情熱を追求する。

両者ともに地域や環境に貢献する専門分野を目指し、学びを追求している若者の姿が光る。将来の活躍が期待される2人の異なる進路が、沖縄の教育や文化に新たな可能性をもたらす。

沖縄から米英名門大へ2人合格 「母の難病治したい」カリフォルニア大へ 「生物ヒントに暮らしに役立てる」世界大学ランク2位の英国名門大へ

 沖縄県出身の2人の19歳が、それぞれ米国と英国の名門大学に合格した。「ここでしかできない学び」へ、期待に胸を膨らませている。

■宮古島出身 荷川取さん、米国へ 医療の格差解消へ情熱

 県立開邦高校を3月に卒業した宮古島出身の荷川取(にかどり)美佑さん(19)が、米国の名門「カリフォルニア大学サンディエゴ校」に合格した。県内の医療格差の解消につなげたいと、9月末から医療機器開発の知識や技術を学ぶ。「苦しんでいる人を助けたい」と目標を語った。

 小学2年の時、母の須美江さん(49)が国の指定難病「視神経脊髄炎」と判明。「治す方法を探さなきゃ」と、医療の道を志した。高校進学に伴い沖縄本島に移った後、医療技術だけではなく、医療を地域へ届ける手法や、経済や政治など「融合した学びができる」と米国への留学を目指すと決めた。

 須美江さんの治療費のこともあり、両親に経済的負担をかけたくないと塾には行かず、NPO主催の留学希望者向けのキャンプなどで勉強法を身に付けた。高3の秋には学費や生活費の支援を受けられる柳井正財団の給付型奨学生に選ばれた。大きな不安が解消され、入試を迎えた。

 米国大学の入試で特に重視されるのは、人柄や考え方を伝えるエッセーだという。自然豊かな小さな島に生まれたこと、体調を崩して苦しむ母の診断まで2年かかり、島内では治療が受けられなかったこと、だからこそ医療格差を解決したいという誰にも負けない熱い情熱がある-とアピール。医学と工学、生物学を融合させたバイオエンジニアリングの研究で世界的に高い評価を受ける大学に思いが届いた。

 入学を前に「両親が背中を押し、多くの人が支えてくれた」と感謝。「宮古島に生まれた私にしかできないことがある。これから歩む道に、ワクワクしている」と目を輝かせた。

(社会部・屋宜菜々子)

■今帰仁出身 小川さん英国へ 自然を生かす研究者に

 【今帰仁】今帰仁村出身の小川賢さん(19)がこのほど、世界大学ランキングで2位に輝いた英国の名門「インペリアル・カレッジ・ロンドン」に合格した。材料工学科に進学予定で「自然界に存在する素材を人工的に再現して、暮らしに生かせるような研究者になりたい」と意気込んでいる。

 小川さんはうるま市のアミークスインターナショナル小中学校からアイルランドの高校「ウィーズリー・カレッジ・ダブリン」に進学。男子寮の寮長を務め、バドミントン部ではキャプテンとして同国レンスター州大会で団体優勝を果たした。

 毎年夏休みには今帰仁村に帰郷し、長期休み中の子どもの居場所「スーパー寺子屋inなきじん」でボランティアをするなど、地元での活動にも積極的に参加してきた。

 幼い頃から村内の豊かな森や海岸で遊ぶうちに、生き物が好きになった。生き物をヒントに素材の研究ができる同大学に興味を持ち、大学入試も兼ねたアイルランドの高校卒業試験で満点を獲得して合格をつかんだ。同大学は「QS世界大学ランキング2025」で2位に位置付けられている。

 「セミの羽にナノパイル構造という抗菌作用があったり、航空機にサメ肌を模した加工をしたら燃費が上がったりと、自然界は面白い。物質を人工的に再現して、生活に役立てるマテリアルサイエンスの研究者になりたい」と意気込んだ。

 母親で名桜大学教授の小川寿美子さんは「小さいころから好奇心が旺盛で、今帰仁の海岸で何時間でも遊んでいるような子だった。大学でも興味があることを精いっぱい学んでほしい」とエールを送った。(北部報道部・松田駿太)