24歳ダウン症のアマチュア落語家『お迎えは4時』『どこの時計の?』ダウン症の特徴をエピソードに母娘で奮闘「ずっと死ぬまでしゃべり続けたい」

AI要約

ダウン症のアマチュア落語家・村上有香さん(24)が、母親とのユニークな会話を題材にした創作落語で高座に上がる。

有香さんは言葉の遅れがある中、2歳から明るくおしゃべり好きに成長し、高齢者施設での仕事や落語に挑戦する。

母の喜美子さんが考えた「創作落語」は、有香さんとのエピソードを元に、笑いと温かさを提供している。

24歳ダウン症のアマチュア落語家『お迎えは4時』『どこの時計の?』ダウン症の特徴をエピソードに母娘で奮闘「ずっと死ぬまでしゃべり続けたい」

 ダウン症のアマチュア落語家・村上有香さん(24)。母親の喜美子さんとの間にあったユニークな会話を題材にした創作落語で高座に上がります。親子でつくる”創作落語”で伝えたい思いがありました。

 8月、大阪で開かれた落語会。軽妙な語り口のベテランに混じり高座に上がったのは…「楽亭ゆかしー」こと、村上有香さん(24)。

 「有香ちゃんは泳げるの?」

 「はい」

 「何メートル泳げるの?」

 「0.0メートル!(得意げに)」

 「ハハハ」

 「小数点だって知ってるんです!」

 “ダウン症のあるアマチュア落語家”として、去年デビューしました。

神戸市西区に住む有香さんは、父・啓吾さん、母・喜美子さんと3人で暮らしています。

 母)「じゃがいももおいしいわ」

 有香さん)「うん」

 母)「有香ちゃんが切ってくれたらおいしいわ」

 有香さん)「うん」

 ひとり娘の有香さん。生まれてすぐダウン症と分かりました。

 母)「えらいことになったなって。将来が想像もできなかったし、みんなに迷惑かけちゃうのかなとか思ってしまって。思い描いていたようなことはできないと思い込んでしまった」

 ダウン症の子どもは一般的に発達がゆっくりだとされていますが、有香さんは2歳のころから言葉を話し始め、明るくおしゃべり好きに成長しました。

 人と接する仕事がしたくて、4年前からは神戸市内の高齢者施設で働いています。

 利用者)「これはなに?」

 有香さん)「ポシェット」

 利用者)「いっぱい入れているの?」

 有香さん)「四次元ポケット」

 利用者)「なかなかユーモアあるよね、仕事もリズミカルやね」

 有香さん)「私しゃべることが大好きなのでね。利用者さんにおしぼり配りながら話ししたり。楽しいです」

 夕方、仕事を終えて帰宅すると、落語の練習をするのが日課です。

 練習する有香さん)「私が生まれる前の母の夢は壮大で、バイリンガルにする。生まれてから、目標を大幅に修正、日本語だけは話せるようにする」

 有香さん)「ダウン症ってなかなかしゃべるのが難しい。私の場合はもししゃべれなかったら、ストレスは溜まります。でもしゃべると発散できるんですよ」

 有香さんが落語に出合ったのはおととし、ダウン症の若者が集うお笑い教室でのことでした。独特の語り口調に魅せられて、すぐに挑戦するようになりました。

 有香さんが扱うのは「古典落語」ではなく、母の喜美子さんが考えた「創作落語」。話のもとになっているのは、「幼いころからの有香さんとのエピソード」を書き留めた子育ての記録です。