クマ目撃 過去10年で最多ペース、市街地周辺で報告増加 これから活動活発に、不要な果実収穫を

AI要約

島根県内のツキノワグマの目撃件数が過去10年と比べて最多ペースで増えており、2024年度は965件に上り、人里への接近が懸念されている。

専門家は食べ物不足が市街地での目撃を増やし、秋に入ることでクマの活動も活発になると予想している。

県ではクマの接近に備えて果実の収穫や伐採の対策を呼びかけている。

クマ目撃 過去10年で最多ペース、市街地周辺で報告増加 これから活動活発に、不要な果実収穫を

 島根県内のツキノワグマの目撃件数が過去10年と比べて最多ペースで増えている。2024年度は8月末までで965件に上り、既に23年度の年間件数を上回った。専門家は人が住む市街地での目撃が増え、従来生息する山奥で食べ物が不足すれば、人里に接近する恐れが高まると指摘する。

 県鳥獣対策室によると、14年度以降で8月末時点の目撃件数は24年度が最多。既に23年度の年間954件を上回る。過去10年間で最多だった20年度(年1362件)の8月末時点と比べても224件多い状況だ。個体数の変化は不明だが、人が住む市街地周辺での目撃報告が増えているという。

 新潟大の箕口秀夫名誉教授(森林生態学)は、今後秋が深まる中、冬眠前に食べ物が不足すれば、クマを柿や栗の木がある人里に近づかせる要因になると指摘。「人の生活を観察して学習する機会が増える」として人間に対する警戒心を高める取り組みや環境づくりの必要性を訴えた。

 島根県の10~11月は、月の目撃件数が200件を超えることがあり、クマの動きが年間で活発な時期に入る。

 県西部農林水産振興センター林業振興課の小沼仁美主任技師は「クマが好む柿や梨といった果実の収穫や、不要な果樹の伐採を考えてほしい」と呼びかけ、できる限りの対策を訴える。クマが接近してきた場合は、逃げずに頭と首の後ろを両手で覆い、うつぶせになって身を守ることが肝要と説いた。