日傘、携帯型扇風機… 記録的な「静岡猛暑」 “涼商戦”活況 残暑に戦略も

AI要約

静岡県内で7月の平均気温が過去最高の29・3度となるなど、記録的な暑さが続いた今夏。夏物の商戦は活況を呈し、涼を求める商品が人気だった。

暑さの影響で扇風機や日傘の売り上げが伸び、疲労回復グッズなども注目されている。

一方、外出を控える人が増え、家庭用エアコンや総菜需要が増加するなど、家庭内での消費が活発化している。

日傘、携帯型扇風機… 記録的な「静岡猛暑」 “涼商戦”活況 残暑に戦略も

 静岡県内で7月の平均気温が過去最高の29・3度となるなど、記録的な暑さが続いた今夏。涼を求める夏物の商戦は例年に増して活況を呈した。名古屋地方気象台が発表した3カ月予報で東海地方の9~11月も引き続き高気温が予想される中、県内小売業界は厳しい残暑を見据え、品ぞろえや販売促進戦略に知恵を絞っている。

 静岡市葵区の大型商業施設「新静岡セノバ」内の生活雑貨店ハンズ静岡店では、携帯型扇風機の売り上げが前年比2・15倍となった。充電済み商品を多数用意し、猛暑をしのぐ即戦力を買い求める動きに応じた。友人と来店した海野莉子さん(12)=同区=は「買ってすぐに使えてうれしい」と品選びを楽しんだ。

 今夏は強い日差しが注ぐ日が多く、日傘の売れ行きも好調だった。女性に加え、通勤や外回りなどで使う目的で男性が物色する姿も目立ち、売り上げは前年比3・15倍に。同店は9月以降、就寝中に疲労回復を図るリカバリーウエアや入浴剤などをそろえ、夏のダメージを癒やす商材の販売に力を注ぐ考えという。

 うだるような暑さの影響は、飲料の売れ行きにも現れた。同区のキリンビバレッジ静岡営業部によると、7月の売上高(量販店ベース)は前年比1割増ながら、熱中症対策商材は同社の全国平均を上回る約3割増となった。担当者は「夏バテや感染症の再拡大が懸念される秋冬に向け、免疫ケアを訴求する商材の販促に力を入れる」と話す。

 猛暑を嫌って外出を控え、家計支出を自宅で快適に過ごす目的に振り向ける様子もうかがえた。ゴルフ場や海水浴場などの屋外レジャー施設は客足が遠のき、飲食店ではランチ時間帯がやや低調だった一方、家庭用エアコンは販売好調。ヤマダデンキテックランド静岡国吉田店(同区)は前年比1・5倍を売り上げ、工事不要で手軽に冷えた風に当たれるスポットクーラーも一時在庫切れになるほどの人気を集めた。

 静岡経済研究所の田原真一研究員(40)は、気温が35度を超えると消費が停滞する傾向を指摘し、「家庭内では揚げ物など高温の調理法が避けられ、スーパーなどで『買って済ます』総菜需要が増えた。飲食物や消耗材の購入を宅配サービスでまかなう利用も増えた」と分析する。