鹿児島県 龍郷町秋名・幾里 「ショチョガマ」設営 ボランティア100人が汗 9日、日の出前にアラセツ行事

AI要約

鹿児島県大島郡龍郷町秋名・幾里の秋名アラセツ(新節)行事「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」の準備作業が行われる。

ボランティア約100人が作業に参加し、山腹の祭場に片屋根のわらぶき小屋を設営。

設営作業が順調に進み、地域の伝統行事を支えるための準備が整った。

鹿児島県 龍郷町秋名・幾里 「ショチョガマ」設営 ボランティア100人が汗 9日、日の出前にアラセツ行事

 国の重要無形民俗文化財に指定されている鹿児島県大島郡龍郷町秋名・幾里の秋名アラセツ(新節)行事「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」は、旧暦8月初丙(はつひのえ)の日にあたる9日、開催される。同行事保存会(窪田圭喜会長)は1日、山腹の祭場に片屋根のわらぶき小屋(ショチョガマ)を設営する作業を行った。ボランティア約100人が山の中腹に丸太などの資材を運び、片屋根を組み上げた。女性有志約60人は200人分の昼食を作り、作業を支えた。

 ボランティアには、陸上自衛隊奄美駐屯地25人、奄美警察署、県大島支庁、奄美市役所各15人などに加え一般参加20人を含む約100人が参加した。

 足をとられることもある急勾配の山道は、地元の建設業者、荒波(あらば)産業㈱(西田重彦社長)が8月30、31日に階段状に改修する工事を済ませた。

 午前8時過ぎ、塩と焼酎でお清めを行い、祭場正面に建てられる約7㍍の2本の「本柱(ほんばしら)」を運ぶ作業が始まった。切られたばかりのイタジイを支えるロープは肩に容赦なく食い込み、作業する人は顔をゆがめ、大粒の汗を流した。

 一方、日頃の訓練で鍛え上げられた自衛隊員たちは、重い柱を担ぎながら笑顔を見せて軽快に山を登った。奄美駐屯地344高射中隊の吉村邦弘三曹(27)は「柱の重さを肩に感じたが、作業自体はそれほどきつくなかった。地域の人と触れ合えることが楽しい。できれば本番にも参加したい」と話した。

 本柱を立てる作業が始まり、4本のスダチ柱、25本のケタ柱なども次々と運び込まれ作業は順調に進んだ。本柱が立ち、片屋根の骨格が組み上がると、参加者からは一斉に歓声が上がった。

 秋名集会場では秋幾地区の女性有志約60人が昼食を作り、ボランティアの労をねぎらった。山田眞砂子さん(82)は「伝統行事を支えたい。何杯もお代わりしてくれ、作りがいがある」と話した。

 設営作業は午後4時過ぎに終了。キンショウダケ(ホテイチク)やワラで屋根が葺(ふ)かれ、竹で編まれたすだれ状の「シル(白)」でスダチ柱が飾られ完成した。

 窪田会長は「ボランティアに感謝したい。地域の伝統や歴史、文化財に興味のある人は、当日ぜひ見学にきてほしい」と呼び掛けた。

 ショチョガマは、日の出(9日は午前6時4分)前から神事が始まり、倒された片屋根の上で豊作を祈る八月踊りが行われる。海の神々への祈願を行う平瀬マンカイは午後4時頃から秋名湾西岸である。