最大瞬間風速51m、総雨量500㎜超す 台風10号、鹿児島に爪痕残す 1人死亡26人けが

AI要約

台風10号が鹿児島県に上陸し、九州を北上する中、強風や大雨による被害が発生している。

南さつま市では36棟の住家が損壊し、軽重傷者が26人。漁船の沈没も多数報告されている。

各地での雨量も大きく、河川が一時的に氾濫危険水位に達したエリアもある。

最大瞬間風速51m、総雨量500㎜超す 台風10号、鹿児島に爪痕残す 1人死亡26人けが

 台風10号は29日、中心気圧955ヘクトパスカルの強い勢力で薩摩川内市に上陸し、九州を北上した。屋久島や薩摩地方で線状降水帯が発生。枕崎市で最大瞬間風速51.5メートルを観測し、県内22万5320戸が停電した。県によると、この台風で1人が死亡し、26人がけがをした。

 鹿児島地方気象台によると、29日夜遅く、県全体が暴風域を抜ける見込み。台風による特別警報(暴風、波浪、高潮)は午前10時半に解除された。大隅地方で降り始め(26日正午)からの雨量が500ミリを超えた所があり、土砂災害への警戒を呼びかけている。

 県内では29日、広い範囲で強風による被害があった。家屋や道路標識が損壊し、倒木による通行止めや停電も相次いだ。薩摩川内市東郷町藤川では、山あいの本俣集落などに通じる市道が倒木で通れなくなった。17世帯26人が孤立し、停電も続く。同集落の久保ノキさん(85)は「昨夜から娘が泊まりに来ているので心強い。復旧まで頑張りたい」と電話取材に答えた。

 県災害対策本部のまとめでは、南さつま市で90代女性が骨折するなど重傷3人、軽傷23人。住家36棟が損壊し、喜界町で漁船2隻が沈没した。交通機関は軒並み運休し、国道と県道の50カ所が通行止めとなった。

 降り始めから29日午後9時までの雨量は、錦江町田代589ミリ、肝付町前田578.5ミリ、南大隅町佐多462.5ミリ、鹿屋市寿420ミリ。平年の8月1カ月分の2倍近い雨が降った所もある。県河川課によると、日置市の神之川など6河川4地点で一時、氾濫危険水位に達した。

 30日に予想される最大風速は18メートル(最大瞬間風速30メートル)、波の高さは5メートル、1時間雨量は多い所で40ミリ。30日午後6時までに予想される24時間雨量は多い所で薩摩150ミリ、大隅100ミリ、種子・屋久70ミリ。

 台風10号は29日午後9時現在、長崎県島原市付近をゆっくりと北北東に進んだ。中心気圧は990ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートルで半径110キロ以内が風速25メートル以上の暴風域。30日にかけて九州を横断し、西日本を東に進む見込み。