埼玉の16歳2人が囲碁のプロ棋士に 八潮出身の荒井さんと蕨出身の竹下さん 目標は「世界で戦える棋士」「女流のタイトルを」

AI要約
荒井幹太さんと竹下奈那さんの2人の囲碁棋士誕生の経緯若手囲碁棋士のプロ入りの過程将来の夢と目標について
埼玉の16歳2人が囲碁のプロ棋士に 八潮出身の荒井さんと蕨出身の竹下さん 目標は「世界で戦える棋士」「女流のタイトルを」

 埼玉から今年、荒井幹太さん(八潮市出身)と竹下奈那さん(蕨市出身)の2人の囲碁棋士が誕生した。共に2008年生まれの16歳。荒井さんは囲碁のプロを目指す日本棋院の院生(研修生)40数人の中で今年4月からの総合成績が1位となり、夏季入段を決めた。9月からプロとしてのスタートを切る。竹下さんは「同一年度内に日本棋院東京本院の院生研修Aクラスに5カ月以上在籍」という条件を満たし、女流特別採用推薦棋士として入段。今年1月からプロとして対局に臨んでいる。

■4歳で覚える

 荒井さんと竹下さんはいずれも4歳の時、兄の影響で碁を覚えた。共に都内の「新宿こども囲碁教室」で学び、藤沢一就先生(八段)の推薦で、荒井さんは小学3年生から、竹下さんは小学5年生から院生になった。

 荒井さんは中学1年生から本格的にプロを目指して囲碁教室付設の天豊道場に親元を離れて住み込み、近くの中学校に通いながら1日6時間以上の猛勉強を続けてきた。その時に一緒だったのが、竹下さんの兄の凌矢現プロ二段になる。

 竹下さんは院生になったものの序列がなかなか上がらず、中学2年生の時にはCクラスからDクラスに落ちてしまった。そこで諦めることなく、逆に「かなりやばい」と思って一念発起。毎日6時間以上の猛勉強を続け、序列が徐々に上がっていった。

■ネットも活用

 囲碁の勉強のため道場に住み込んだ荒井さんは、囲碁漬けの生活に終始する。先輩プロや仲間たちとの実戦対局が中心で、局後には自分の打った碁を人工知能(AI)にかけて検証する。週に3~4回、師匠の藤沢先生に打っていただくこともあった。さらにはインターネットで行う「早碁」も大いに役立った。もちろん棋譜並べや詰碁も欠かさなかった。

 竹下さんも勉強内容は基本的に同じ。「私は詰碁の勉強に力を入れました」。もちろん棋譜並べや道場での実戦、インターネットでの対局もとことん繰り返した。

■世界を視野に

 荒井さんは入段が決まった時「うれしいというより、ほっとした気持ちが先でした」。それだけプレッシャーがかかっていたのかもしれない。入段の喜びは「真っ先に師匠に電話で伝えた」という。竹下さんも入段を決めた時はプロになった実感はなかったが、プロとして対局がつくようになって、改めてプロになれたことを実感しているという。

 プロとしての目標は「世界で戦える棋士になりたい。目標は井山先生(裕太三冠)」と荒井さん。竹下さんは「女流のタイトルを目指したい。目標は姉弟子でもある上野愛咲美先生」と2人は大きな夢を抱く。