進撃の巨人や東リベ「家宝級」アニメ巻物や掛け軸、国内外で話題 「表装」技術継承のきっかけに

AI要約

岐阜県本巣郡北方町で掛け軸メーカーがアニメキャラクターを大胆に描いた新商品を開発。伝統技術を守る取り組みや後継者不足の課題にも触れる。

総合商社との協力でアニメキャラクターの掛け軸制作に取り組み、試行錯誤を重ね高級感漂う商品を完成させた。

人気漫画のキャラクターを表現した掛け軸や巻物がファンから注目を集め、100点以上が販売されるなど好評を得ている。

進撃の巨人や東リベ「家宝級」アニメ巻物や掛け軸、国内外で話題 「表装」技術継承のきっかけに

 岐阜県本巣郡北方町平成の掛け軸メーカー「偕拓堂アート」が、アニメキャラクターが大胆に描かれた掛け軸や巻物などを制作した。後継者不足などで失われつつある掛け軸などの日本の伝統技術を守っていこうと新商品を開発。「高級感がある」と、国内外のファンの話題を集めている。

 1970年創業で、掛け軸などの制作、販売を手がける。古くなった掛け軸の修復なども取り組む。しかし、最近では洋風の建築が増え、掛け軸を飾る床の間や和室が減ったほか、高い技術を要する職人の後継者不足から売り上げも減少。グループ会社「岐阜軸装」の国家検定一級表装技能士、勝野友宏さんは「技能士を育てるのにも時間はかかる。この業界に入るきっかけがないと技術の継承は難しい」と話す。

 そこで総合商社のイービストレード(東京都)と協力し、アニメキャラクターの掛け軸の制作に乗り出した。同社のライフエンタテインメント事業部ではアニメグッズを扱っており、新たなアニメグッズの開発と日本の伝統技術の継承につながればと提案した。

 掛け軸や巻物、屏風(びょうぶ)は通常、和紙に書かれた書作品や水墨画などを仕立てる。アニメのイラストを和紙に印刷するとにじんでしまうため、ポリエステル製の布に印刷し直し、インクのにじみを防ぐなど試作を重ね、細部にまでこだわった。

 巻物や屏風、掛け軸の3種類には、人気漫画「進撃の巨人」や「東京リベンジャーズ卍」などのキャラクターを表現。巻物の「裂地(きれじ)」と呼ばれる部分には京都西陣織を使用し、アニメのファンからは「こんな高級感漂うグッズは見たことない」「グッズを超えて家宝では」との声が寄せられているという。価格は巻物、屏風が4万9800円、掛け軸が2万9800円と高額だが、これまでに計100点以上が売れている。

 担当者は「アニメグッズという一見かけ離れた業界とのコラボレーションだが、このグッズをきっかけに表装や日本の伝統技術を知ってほしい。若者にも伝わるように挑戦していきたい」と話す。