徳島は1000席以上のホール数が全国最少、県都に完成するのはいつ? これまでのイメージ図を一挙公開

AI要約

徳島県が新ホールの建設計画を巡り、長い歴史の中で様々な意見が対立している状況が続いている。

過去の市長や知事の交代を経て、建設地や規模などの計画が幾度も変更され、県都・徳島市に新ホールの必要性を巡る議論が続いている。

計画の膠着や再構築など、様々な問題が浮上し、新ホールが完成する日はいつになるのか不透明な状況が続いている。

徳島は1000席以上のホール数が全国最少、県都に完成するのはいつ? これまでのイメージ図を一挙公開

 徳島県が計画している新ホールの見通しがいまなお立っていません。後藤田正純知事は藍場浜公園での建設の意向を示しているものの、県議会や徳島市議会から反対の声も上がっています。県都・徳島市の新ホール計画が検討されてから30年以上がたちます。公益社団法人全国公立文化施設協会の「全国劇場・音楽堂等総合情報サイト」によると、1000席以上の文化施設(ホール)数は、徳島県が全都道府県で最少となっています。

 「全国劇場・音楽堂等総合情報サイト」で、座席数1000席以上の文化施設を都道府県別で検索します。徳島県は県立産業観光交流センター(アスティとくしま、5000席)のみです。都道府県別で1カ所しかないのは徳島県だけてした。

 サイトには、主にスポーツに利用される体育館や屋外施設も含まれています。これを除くと、中四国9県では、愛媛県が8施設、香川が6施設(工事中の丸亀市民会館を含む)などとなっています。徳島県より人口が少ない鳥取、島根、高知各県も複数あります。

四国他県の県立施設は

 四国の状況を見てみましょう。いずれも県都に複数施設が存在します。このうち県立施設は、愛媛県県民文化会館がメーンホール2725席(車椅子10席含む)、サブホール912席(車椅子8席含む)を備えます。2023年度の利用率はメーンが48・90%、サブが42・20%でした。

 香川県県民ホールは 大ホール2001席、小ホール807席があり、23年度の利用率は大ホールが61.5%、小ホールが66.6%でした。

 高知県立県民文化ホールは大ホールが1507席で、小ホールが500席あります。23年度の利用率は大ホールが77・0%、小ホールが71・2%でした。

徳島県のホールを巡る歴史

 改めて県都のホール計画を巡る歴史を振り返ります。過去の徳島新聞を見ると、曲折と停滞ぶりが浮かび上がります。

 徳島市のホール構想は、1990年代初頭にまでさかのぼります。本格的な音楽芸術ホールを求める声が上がり、文化団体が徳島市議会にホールの建設を陳情することが始まりとされます。

 93年に市長に就任した小池正勝氏は建設に意欲を示し、ホールの場所や規模を検討する市民会議を発足させ、95年には予定地を動物園跡地(徳島市中徳島町)とする方針を示しました。しかし、市の財政悪化を理由に動きは進みませんでした。

 小池氏の次に市長に就任した原秀樹氏は方針を転換します。動物園跡地は、都市計画法によってホールなどが建設できない「第一種住居地域」にあり、「都市計画公園」にも指定されていたため、変更する必要がありました。駐車場や渋滞の問題もあり、新町西地区の再開発とホール建設を一体化し、衰退した中心市街地の活性化を目指しました。

 しかし、市民からは反発の声が上がりました。「動物園跡地」を支持する声が根強かったほか、高額な事業費への批判もありました。

 県とも対立しました。再開発事業のゴーサインとなる「都市計画決定」を巡り、当時必要だった知事の同意を、飯泉嘉門氏は拒否します。

 2016年にあった市長選は、「新町西再開発の白紙撤回」を掲げた遠藤彰良氏が原氏を破って当選しました。市文化センターの改修案が出た後、徳島駅西側駐車場に新築する方針に転換。地下に電気通信設備やケーブルが埋まっていることが判明し、市文化センター跡地に新築すると二転三転します。

 ここでも県市が対立します。市文化センター跡地に含まれる「県有地」を巡って県が譲与に待ったをかけ、計画が膠着(こうちゃく)しました。

 20年4月の市長選では、「県市協調」を公約に掲げた内藤佐和子氏が遠藤氏を破ります。ホールを「県立で」という内藤氏の要望を、知事の飯泉氏は「大胆不敵ならぬ大胆すてきな提案」と歓迎し、県が新ホールを建設することで決着します。県の計画では、大ホール棟は23年4月に着工し、26年2月に完成する予定でした。

 ようやく着工かに見えましたが、再び白紙に戻ります。23年の知事選で計画の見直しを掲げた後藤田氏が当選。駅周辺を含めたまちづくり構想を示し、新ホールは藍場浜公園に建設する方針を打ち出しました。

 24年6月定例会では藍場浜公園に整備する場合、大ホールで1504席を確保し、建設費は概算で約142億円になるとの調査結果が示されました。これに対し、県議会からは現計画を前提とした徳島市との基本協定の扱いなどを巡り、疑問や反対の声が上がりました。

 徳島市議会6月定例会でも、基本協定を巡って異論が出ました。基本協定に基づいて市が負担した建設地の施設解体費と市有地の譲渡額について合わせて約15億4千万円に上ると指摘。市は県に損害賠償を求める可能性を説明しました。

 市文化センター跡地か、藍場浜公園か。県都・徳島市に新ホールが完成する日はいつになるのでしょうか。