福井県の中部縦貫道、橋工事で「想定外の事態」発生 コンクリートを岩盤まで沈められず…国交省が報告

AI要約

九頭竜インターチェンジから油坂までの35キロにおける道路整備工事で、橋の建設に際して様々な課題が生じていることが明らかになった。

特に、新子馬巣谷橋の建設において、岩盤へのコンクリート体の沈下が進まず、地盤の圧力による影響も指摘されている。

その他、工事現場で地滑りの恐れがある破砕帯が見つかるなど、工事の進捗に影響を与える要因が複数存在している。

福井県の中部縦貫道、橋工事で「想定外の事態」発生 コンクリートを岩盤まで沈められず…国交省が報告

 中部縦貫自動車道大野油坂道路(全長35キロ)の九頭竜インターチェンジ(IC)-油坂間(同15・5キロ)の整備状況について、国土交通省近畿地方整備局は8月8日、福井県大野市箱ケ瀬で建設中の橋の工事で課題が複数生じていると明らかにした。今後、地盤などの専門家による検討会を設置し対応を検討する。2026年春の開通目標は現時点で変更ないとした。

 敦賀市内で同日開かれた近畿地方整備局と県が事業進捗などを情報共有する監理会議で報告した。会議は非公開。

 課題が発生しているのは、九頭竜ICから東に約9キロの九頭竜湖に架ける「新子馬巣谷橋(しんしばすだにばし)」。国交省福井河川国道事務所によると、橋脚の土台となるコンクリート体「ケーソン」を地下に沈める作業で、岩盤まで沈下が進まない事態が発生した。

 19・5メートル沈下させる予定で残り1・6メートルのところまで到達したが、その後は数センチしか沈まない状況となっている。山側からの地盤の圧力による影響とみられ、圧力を軽減させるためケーソンの周囲に穴を開けて隙間を作る対策を講じている。

 また、5月中旬に工事現場近くののり面が崩壊。橋脚完成後の工事で使用する設備を設置する予定だった地盤には、地滑りを起こす可能性のある破砕帯が見つかり、対策が必要になったという。

 同事務所の野村文彦所長は「想定外の事態が発生しており、非常に課題として大きい。可及的速やかに検討会を設置し、対策を検討したい」と述べた。このほか、施工中の大谷トンネル(2853メートル)の進捗率は7月末現在約89%で、地盤状況の悪化などで工程が約2カ月遅れているとした。