「迂回」の流れ「経緯不明」 政治資金報告書問題 全協で大石知事が説明 長崎

AI要約

長崎県の大石賢吾知事の政治資金収支報告書問題で、県議会は全員協議会を開き、資金の流れや借り入れの経緯について詳細な説明が不十分であることを問題視した。

286万円の資金は医療法人などから政党支部経由で後援会に寄付され、後に借り入れという経緯が明らかになったが、大石知事は資金移動の事実を知らなかったと主張している。

迂回疑惑も指摘され、知事の説明が不十分であるとして議会で検証が行われたが、詳細な経緯の把握に至っていないことが明らかにされた。

「迂回」の流れ「経緯不明」 政治資金報告書問題 全協で大石知事が説明 長崎

 長崎県の大石賢吾知事の政治資金収支報告書問題で県議会は5日、全員協議会(全協)を開き、2022年知事選時に大石氏の後援会が自民党県議側から286万円を「借り入れた」とした記載を「寄付」に訂正した理由などをただした。286万円については県議側を通じた医療団体からの「迂回(うかい)献金」との疑惑があるが、大石氏は「(知事選時に)資金移動の事実を知らなかった」と主張。一連の資金の流れを誰がつくったかについても「関係者に確認したが、正確な経緯の把握に至っていない」と詳細を明らかにできなかった。【23面に関連記事】

 22年の訂正前の同報告書によると、知事選で大石陣営の選対本部長だった県議が代表の政党支部は医療法人など9団体から計286万円の寄付を受け、同年2月18日に県議自らの後援会に同額を寄付。同日に大石氏の後援会は同額を借り、同年12月に利息分を含め返済していた。

 6月の県議会で借り入れが問題視され、大石氏は記載を「寄付」に訂正する方針を7月までに表明したが、詳細な理由は示さなかった。さらに、後援会への直接の寄付が禁じられている企業・団体から、寄付が可能な政党支部などを通じて資金を受け取ったとされる迂回疑惑も浮上。議会は「知事の説明が不十分」として全協を開き、全6会派が代表質問を行った。

 冒頭、大石氏は「県民にご心配をおかけした」と改めて陳謝。286万円の資金の流れは22年末ごろ把握し、県民の疑念を招くと考え返金したと説明。訂正については複数の専門家から意見を聞いた結果、「実態に即して(貸借を)寄付」にしたと述べた。

 迂回疑惑に関しては、医療法人に寄付を呼びかけた県医師連盟が「政党支部への寄付の協力を依頼していた」と説明しているとし、大石氏側への寄付の意図はないと主張した。自身の「出処進退」に関する質問には「引き続き県政推進に注力する」と語った。

 登壇した議員からは「知らないで通ると思っているのか」と反発する声や、訂正が「(選挙後に法律で禁止されている選挙活動の報酬を支払った)事後買収の疑義を回避するためではないか」と問題視する意見も出た。