【独自】広島、長崎市が平和ツーリズムで連携 今夏に本格化、相乗効果で誘客図る

AI要約

広島、長崎市は訪日外国人客対象の平和ツーリズムで連携を強化。観光プログラムを通じて地元誘客を図り、平和への関心を高める取り組みを展開。

両市の原爆資料館でのPR活動やショート動画作成、体験型メニュー導入などを予定。観光スポットと名物料理を組み合わせ、地域経済振興を図る。

両市は被爆からの歴史を共有し、平和構築に取り組んでおり、今回の観光連携は初の試み。来訪者数の増加と平和の重要性を世界にアピールする意向。

【独自】広島、長崎市が平和ツーリズムで連携 今夏に本格化、相乗効果で誘客図る

 広島、長崎市は今夏から、訪日外国人客対象の平和ツーリズムで連携を本格化させた。米国による両市街地への原爆投下から80年となる2025年は、大阪・関西万博、瀬戸内国際芸術祭が開かれる予定で、海外で日本観光への関心が高まると予想。情報発信し観光プログラムを設けることで地元誘客を図り、平和への関心を高める。

 具体的な活動は1日に開始した。広島、長崎の各原爆資料館では、英文のパネル展示や観光マップ配布などで両市をPRしている。今後、被爆から復興、現在の繁栄までの歴史や観光スポットをセットで紹介するショート動画を作り、交流サイト(SNS)で国外に発信する。

 観光プログラムは、両市でのモデルコースや体験型メニューを設ける想定。世界遺産に登録されている広島の原爆ドームをはじめ、旧日本銀行広島支店や長崎の旧城山国民学校校舎といった多数現存する被爆建物など「歴史の証人」と、お好み焼きやちゃんぽんの名物料理などを組み合わせ、地場経済振興につなげる考えという。

 1945年8月6日(広島)、9日(長崎)の原爆投下で、同年末までに広島は推計約14万人、長崎では同7万人以上が犠牲になった。両市は現在の「平和首長会議」を82年に立ち上げ運営を主導するなど、平和構築で長年共同歩調を取る。観光の観点も加えた連携は今回が初で、2026年度まで続ける。

 昨年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)開催で広島を訪れる外国人は増加傾向で多くは欧米からとされる。一方、長崎は地理的にアジアからの訪問が目立つという。両市は連携による相乗効果で来訪者数の底上げを目指す。

 「被爆の実相に触れるだけでなく、地元との交流も含め長崎の魅力を満喫してほしい」と長崎市文化観光部。広島市観光政策部は「両市を周遊する人が増えるようPRに注力し、被爆80年を機に改めて平和の尊さを世界にアピールする」としている。