古墳の埴輪は「盾持ち人」 磐田・甑塚、1959年出土 東海4県で初 「畿内と交流」示す

AI要約

磐田市教委は、6世紀初頭に造られたとされる岩井の甑塚古墳から出土した盾持ち人埴輪が、東海地方では珍しいものであることが判明した。

盾持ち人埴輪は、その形態や文様が近畿地方の埴輪と類似しており、当時の政治中心地である畿内との関係が示唆される。

今回確認された埴輪は、北海道では初めてのものであり、盾には半円状の文様が施されている。

古墳の埴輪は「盾持ち人」 磐田・甑塚、1959年出土 東海4県で初 「畿内と交流」示す

 磐田市教委は30日、6世紀初頭に造られたとされる同市岩井の甑塚(こしきづか)古墳から1959年に出土した埴輪(はにわ)が、東海地方では珍しい「盾持ち人埴輪」と判明したと発表した。文様や形態が当時の政治の中心だった近畿地方の埴輪と似ていることから、文化財課は「畿内中央と技術的な交流があり、親密な関係がうかがえる。(古墳がある)磐田原は当時の王権から重要視されていた」と推察した。

 盾持ち人埴輪は、円筒埴輪の正面に盾を取り付け、上部に人の頭を表現している。古墳の周囲や石室の入り口に置かれ、魔除けとして被葬者を守る役割を持っていたとされる。静岡県内では伊豆の国市での出土が2例あるが、文様や厚みなど技術的特徴が関東でよくみられる造りという。近畿地方の影響を受けた盾持ち人埴輪が確認されたのは東海4県で初めて。

 今回確認された埴輪は頭部が欠損した状態で、高さ82センチ。盾には半円状の文様が施されている。1959年の発掘調査で石室内の石棺付近から出土したが、当時は複数に割れた状態で、「盾形埴輪」と「円筒埴輪」の別個体と考えられていた。出土資料の整理作業の過程で、復元・修理した結果、一体の埴輪と明らかになった。

 同古墳は県内で最も早く横穴式石室を取り入れた直径約26メートルの円墳。同市見付の市埋蔵文化財センターでは8月1日~9月30日に盾持ち人埴輪を公開する。