「文字権左衛門」とは誰か「几帳面でバイタリティー」100日超の踏査で大絵図 京都・南丹

AI要約

江戸時代に丹波国岩江戸村で活躍した文字権左衛門の功績について、美山町で講演が行われた。権左衛門は庄屋を引退後、丹波志の編さんに参加し、大絵図や書物を仕上げるなど抜群の行動力を発揮した。

権左衛門は日蓮宗の信仰に深く、岩江戸に妙見さんというお堂を建立した。堂内では貴重な奉納物が見つかり、「丹波志」に貴重な資料として紹介された。

講演には約30人が参加し、美山の文化財を紹介。展示された絵図や奉納物に参加者は興味津々だった。

「文字権左衛門」とは誰か「几帳面でバイタリティー」100日超の踏査で大絵図 京都・南丹

 江戸時代に丹波の地誌編さんに尽力した丹波国岩江戸村(現・京都府南丹市美山町)の文字権左衛門(1716~88年)について、郷土史に詳しい東慧さん(89)が同町の美山文化ホールで講演した。100日以上の踏査で仕上げた大絵図の現物を展示しながら、抜群の行動力をたたえた。

 権左衛門は庄屋を引退後、篠山藩士の依頼で「丹波志」編さんに参加した。美山町誌の刊行前に東さんらが進めた調査で、書き残した史料が見つかった。

 講演で東さんは、権左衛門が丹波中を歩き、全1149村や街道を記した「丹波国大絵図」や、産業や寺社について記した書物を仕上げたと解説した。

 日蓮宗の信仰にあつく、岩江戸の小高い山にお堂「妙見さん」を建てたとも紹介。堂の内部で、法華経7万字を1センチ四方の紙片に1字ずつ書いた奉納物を東さんが見つけた。「普通は一字一石。貴重な資料だ」と説いた。

 旅先で疫病にかかった地元の一行を救おうと、滋賀県の草津宿まで徹夜で迎えに行った逸話も挙げ、「きちょうめんでバイタリティーがある。偉人として広く知られてほしい」とまとめた。

 講演は「美山の文化財を守る会」が6月26日に主催。市立文化博物館などの協力で絵図や奉納物が展示され、参加者約30人が見入った。