厚さ30cmのトンネル壁面が崩落、大量の土砂流入 通行再開まで複数年かかる可能性 地域高規格・北薩横断道路

AI要約

鹿児島県北部の地域高規格道路「北薩横断道路」の一部である北薩トンネルで大規模な土砂流入が発生し、通行止めとなった。

トンネル周辺には湧き水が多く、それが原因の可能性もある。トラブルにより水量増加が起き、水質の影響も調査中。

北薩トンネルは2018年に開通した県内最長のトンネルであり、復旧には複数年かかる見通し。

厚さ30cmのトンネル壁面が崩落、大量の土砂流入 通行再開まで複数年かかる可能性 地域高規格・北薩横断道路

 鹿児島県北部の地域高規格道路「北薩横断道路」のさつま泊野インターチェンジ(IC)=さつま町=と高尾野IC=出水市=の間(約14.5キロ)で続く全面通行止めについて、県道路維持課は28日、区間内の北薩トンネル(4.85キロ)で大規模な土砂流入が発生し、復旧の見通しが立たないことを明らかにした。同日の緊急会見で「被害が拡大し、対策にも時間を要する」などと説明し、通行再開まで複数年かかる可能性を示唆した。迂回(うかい)路は国道328号。

 同課によると、現場は出水市側のトンネル入り口から約1.8キロ付近。27日時点の調査では、厚さ30センチのトンネル壁面の一部が長さ6~7メートルにわたって崩れ落ち、一帯はほとんどが土砂で埋まったとみられる。全体が崩落する危険性は「現時点で分からない」とした。

 周辺は建設当初から湧き水が多いことが分かっており、7月中旬にあった大雨の影響も含めて詳しい原因を調べている。

 湧き水には自然由来のヒ素が含まれるという。出水市側にある排水施設で処理されているが、一連のトラブルによる水量増加で、27日までに機械が2度停止した。同課が採水調査をして影響の有無を調べている。25日時点で飲用の基準値以上、農業用水の基準値以下だった。26日以降の結果は検査中。

 北薩トンネルの被災状況を巡っては、25日に通行人らの通報を受け、路面が約50メートルにわたり、最大約40センチ浮き上がっていることが発覚。26日に壁面コンクリートが剥がれ、水や土砂が流れ込み始めた。

 出水市とさつま町にまたがる県内最長のトンネルで開通は2018年3月。