「パトカーが流されている」ノイズだらけの45秒間の通話 救助に向かい死亡した巡査長に ”届かなかったライフジャケット” 大雨の夜に一体何があったのか、すべてが明かされた(山形・新庄市)

AI要約

山形県新庄市で記録的な大雨が降り、救助に向かっていた警察官が流され死亡した。

殉職したのは26歳の新庄警察署の玉谷凌太警部補で、ライフジャケットを積んだ車両の到達を待たずに救助に向かっていた。

玉谷巡査長はまじめでリーダー的存在だった。警察が使う「県民の安心と安全を守る」という理念に染まっていた可能性がある。

「パトカーが流されている」ノイズだらけの45秒間の通話  救助に向かい死亡した巡査長に ”届かなかったライフジャケット” 大雨の夜に一体何があったのか、すべてが明かされた(山形・新庄市)

あの夜、何があったのか。

記録的な大雨となった山形県新庄市で、救助に向かっていたパトカーが流され警察官1人が死亡した。

殉職したのは、新庄警察署の玉谷凌太  警部補(巡査長から2階級昇任)26歳。

新庄警察署の真室川駐在所に勤務する警察官だった。

●大雨に対応

25日、山形県内は大雨に襲われ、新庄市も激しい雨が降っていた。

玉谷巡査長(当時)は、20代の巡査部長と2人でパトカーに乗り、新庄警察署の管内を流動警戒、つまりパトロールしていた。

そんな中、25日午後11時23分、1本の110番通報が入る。

一般の人からの救助要請だった。

警察署から連絡を受け、現場に向かったのが、玉谷巡査長の乗るパトカーだった。

現場は、浸水が想定されていた。

警察の規定にはなかったが、ライフジャケットが必要だと考え、署はライフジャケットを積んだ車両を後続車両として現場に向かわせた。

●届かなかったライフジャケット

一刻も早く現場に向かう玉谷巡査長の乗るパトカー。

そして、ライフジャケットを届けるべく、後続する車両。

その間に、自然が立ちふさがった。

土砂崩れが発生し後続車両が巻き込まれたのだ。

車両は動けなくなり、乗っていた警察官は自力で脱出。その後新庄警察署に戻った。

後続車両は、合流できなかった。

玉谷巡査長のパトカーが水没することになる現場付近まで1キロもなかったとみられる。

●「非常にまじめ」「リーダ的存在」

県警は、玉谷巡査長の人となりについて、「非常にまじめ」「職場の同僚の中ではリーダー的存在」と話した。

警察がたびたび使うことばに「県民の安心と安全を守る」というものがある。

玉谷巡査長にはそれが染みついていたのかもしれない。

●ノイズだらけの約45秒間 110番「パトカーが流されている」

玉谷巡査長が乗ったパトカーは、新庄市本合海に到達する。

そして、午後11時43分。玉谷巡査長から携帯電話を使って110番通報が入った。

「パトカーごと流されている」