IC乗車券PASPYは2025年3月まで 広島県内の交通機関の利用方法どうなる 新システム「モビリーデイズ」?ICOCA? 各社の対応は

AI要約

モビリーデイズがPASPYの代わりとして導入され、広島都市圏の複数の交通会社が対応を進めている。

一部の交通機関は全国交通系ICカードのみを採用する方針であり、利用者の間で不安の声も上がっている。

現金での利用は引き続き可能であり、各事業者の対応には多様性がある。

IC乗車券PASPYは2025年3月まで 広島県内の交通機関の利用方法どうなる 新システム「モビリーデイズ」?ICOCA? 各社の対応は

 来年3月29日限りで使えなくなるカード型IC乗車券PASPY(パスピー)に代わり、広島電鉄(広島市中区)が開発した新乗車券システム「モビリーデイズ」が今月20日、一部路線で利用開始となる。広島都市圏の多くの事業者が順次、モビリーデイズを導入する一方、広島県内の福山地区を中心にICOCA(イコカ)などの全国交通系ICカードだけとする会社もある。あらためて各事業者の対応をまとめた。

 モビリーデイズを20日から使えるのは、広島市と三次、庄原市を結ぶ広電の高速バスと備北交通(庄原市)のほぼ全線。広電の電車・バスは9月7日から、エイチ・ディー西広島(西区)や芸陽バス(東広島市)とともに全線で使えるようになる。広島バス、広島交通、中国ジェイアールバスなど広島市に本社を置くバス会社の多くも順次、対応する。

 広島都市圏では、大半の事業者で全国交通系ICカードが今後も使える。ただし広電は来年3月末以降、読み取り機が降車用だけの簡易型になる。均一運賃でない区間では、乗ったバス停や電停を口頭か整理券で乗務員に伝え、乗務員が読み取り機を操作して精算する形になる。芸陽バスや備北交通も同様だ。

 一方、広島高速交通(安佐南区)のアストラムラインは、モビリーデイズに対応しない。ラッシュ時に改札口が混むため、精算の処理スピードが速い全国交通系に絞る。パスピーは11月30日で終了する。沿線の駅に乗り入れるフォーブル(同)のバスも同様に全国交通系だけとなる。

 呉市と廿日市市は、両市で運行する広電に合わせ、コミュニティーバスをモビリーデイズ対応とする。呉市は、観光利用が見込まれる一部の生活バスには全国交通系の簡易型読み取り機を設ける方針だ。

 一方、福山市を拠点とする中国バスや鞆鉄道はモビリーデイズに対応しない。全国交通系は従来通り使える。江田島バス(江田島市)も全国交通系だけにする。尾下裕昭常務は「自衛隊関係者や観光客の利用が多く、全国交通系を使えるようにしておきたい」とする。

 システム変更を巡っては、利用者から「使いにくくなるのでは」と不安がる声も上がる。ある事業者の役員は「人口減少に新型コロナウイルス禍の影響も加わり、経営は厳しい。モビリーデイズと全国交通系の両方の読み取り機を置く設備投資は難しい」と理解を求めている。いずれの交通機関も、現金での利用は引き続きできる。