指定管理料を流用か 山口県周南市文化振興財団の1億4千万円不明金問題 不正経理の一端明らかに

AI要約

周南市文化振興財団での不正経理問題に関連して、元職員が不足金を隠すために市の指定管理料を着服した疑いが浮上している。

財団の金庫からの現金不足は2007年に発覚しており、元職員は責任を逃れるために隠蔽工作を行っていた。

相互の確執や責任転嫁が見られる中、事件の真相が次第に明らかになりつつある。

指定管理料を流用か 山口県周南市文化振興財団の1億4千万円不明金問題 不正経理の一端明らかに

 公益財団法人周南市文化振興財団(理事長・藤井律子山口県周南市長)で約1億4千万円の不明金と着服の疑いが判明した問題を巡り、不正経理の一端が19日、明らかにされた。有印私文書偽造・同行使の罪に問われた元職員沢野正典被告(67)の初公判。検察側は、被告が遅くとも2007年ごろには財団の金庫から現金が抜き取られていることを把握していたとし、監査での発覚を免れるため市の指定管理料が利用された可能性も指摘した。

 山口地裁周南支部であった初公判。沢野被告は「間違いございません」と起訴内容を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、財団の金庫の現金は07年度末の決算報告書の作成時点で2千万~3千万円不足していたという。検察側は、1982年から経理を担当していた沢野被告が「疑われるのは自分。責任を問われると考え、不足を隠すこととした」と言及。「犯人を見つけ出し、弁償させればいいと考えた」と説明した。

 財団は市文化会館など3施設の指定管理者。市が毎年4月に振り込む一部の指定管理料が、不足分を隠すための不正経理に使われた可能性が示された。毎年度の監査を担った監事の一人は「財団職員が複数人で確認しているとの思いがあり、説明を全く疑わなかった」と述べたという。

 今月29日には、問題を受けて懲戒解雇された財団元職員(56)=詐欺罪で起訴=の初公判が同支部ある。

 19日の公判では、この財団元職員と沢野被告について、「お互いを嫌っているようだった」とする財団職員の供述も示された。