巨匠共演深まる魅力 ゴッホ展 ルノワール絵画展示へ オランダの美術館複数提供 輝く色彩、響き合う

AI要約

2026年に開幕する福島市の県立美術館で行われる「大ファン・ゴッホ展」に、ルノワールの作品も加わることが決定。

オランダのクレラー・ミュラー美術館が所蔵するルノワールの複数の絵画も提供される予定で、貴重な機会となる。

ゴッホは印象派の影響を受け、後期印象派の画家として美学を追求。展示される作品を通じて、芸術の奥深さを感じられる予定。

巨匠共演深まる魅力 ゴッホ展 ルノワール絵画展示へ オランダの美術館複数提供 輝く色彩、響き合う

【オランダ・エーデで本社報道部・丹治隆】2026(令和8)年に福島市の県立美術館で開幕する「大ファン・ゴッホ展」(仮題)に、印象派の巨匠・ルノワール(1841~1919年)の作品が加わる。ゴッホ(1853~1890年)の作品を貸し出すオランダのクレラー・ミュラー美術館が12日午前(日本時間12日夕)、所蔵しているルノワールの複数の絵画も提供すると明らかにした。ゴッホは印象派の輝くような色彩に影響を受け、後期印象派の画家として美学を追求した。独特の光を描いて響き合う2人の作品を通し、芸術の奥深さを感じられる貴重な機会となる。

 オランダ訪問中の内堀雅雄知事が美術館を訪れ、ベンノ・テンペル館長にゴッホ展の成功に向けた協力を改めて要請した。テンペル館長は、ゴッホ展を通じた福島県復興に全面的に協力すると約束した。貸し出すルノワールの作品名や点数については現在、調整中のため、明らかにできないという。

 オランダ時代のゴッホは、意識的に暗い色彩を用いていた。しかしパリで印象派の絵を目にして明るい色を積極的に使うようになり、画風を一変させた。ただし、濁りなど変化を加え、真正の印象派画家とは一線を画したとされる。

 内堀知事はルノワールの作品が展示される意義について「ゴッホはルノワールや日本の浮世絵などに触れて刺激を受けた。異なる芸術家同士が出会うことで新しいものが生まれる。人と人との関わりやコンビネーションの持つ力もゴッホ展を通じて感じてほしい」と述べた。

 テンペル館長は、福島医大がゴッホ展で取り組む芸術作品で心身を癒やす「アートセラピー」の研究についても支援することを表明した。

 県内からは期待の声が上がっている。県立美術館はルノワールの「帽子を被る女」を所蔵し、常設展示している。坂本篤史主任学芸員は「ルノワールの作品がさらに展示されることで、ゴッホの晩年の傑作の影響源などをより詳しく知ることができる」とした。