【山口県】創業90年の節目に兄からバトン 岸田孝三さん、キシダプロテック新社長に

AI要約

周南市の老舗企業であるキシダプロテックの社長交代に注目が集まっている。

新社長の孝三さんは兄の英樹さんからバトンを受け継ぎ、社長として会社を引っ張っていく決意を示している。

同社は地域に根ざした存在として、顧客満足を追求し、将来も続く会社を目指している。

【山口県】創業90年の節目に兄からバトン 岸田孝三さん、キシダプロテック新社長に

 ステンレスの階段や手すり、柱などを手がける周南市港町の㈱キシダプロテックの岸田孝三さん(53)が3月20日付で社長に就任した。バトンを渡したのは現会長で兄の英樹さん(62)。

 現役世代の兄弟間での社長交代は珍しく、事業承継のモデルケースの1つとして注目を集めそうだ。

 同社は1933年に岸田板金店としてスタートした地場の老舗企業。2003年に英樹さんが父から社長を引継ぎ、13年に岸田ステンレス工業所から社名を現在のキシダプロテックに変更した。昨年は創業90周年、英樹さんが就任して20年、社名変更10周年の節目だった。

 英樹さんは社長就任時41歳。20人ほどの社員とともに会社を切り盛りする中、現場で奔走し、取引先からの信用を大切にする孝三さんを見てきた。30年以上社業にまい進し、気力と体力が十分な50代の弟なら会社の顔として申し分ないと判断。現役のうちに社長を譲り、会長として孝三さんを支えていくことを決めた。

 孝三さんは1971年、周南市住崎町出身。徳山小、住吉中を卒業後、市内の県立東部高等産業技術学校高校に通い、仕事に必要な技術、知識、資格を身に付けた。外部の会社で経験を積み、1992年にキシダプロテックに入社。一貫して製造、据付などの現場を歩んできた。顔の広い経営者として陣頭指揮をとりつつ、現在も現場に立つ。

 自社工場で生産、加工、施工までを手がける技術力が同社の強み。顧客の満足を追求し、「地域になくてはならない存在として将来も残っていく会社」を目指す。

 「会社」を支えるのは様々な「人」。既存顧客、創業者、先代、家族などへの感謝の気持ちとともに「社員全員が豊かに暮らせる職場を作っていきたい」と語る。