なぜ?平和大通りで倒木相次ぐ まかり間違えば大惨事に 樹木医の点検はじまる 広島
広島市の平和大通りで倒木が相次いでいることを受け、広島市は樹木医による詳細な点検を始めました。
倒木が公共の場で起こる事例から、福山市や三原市でも類似の事故が起きており、安全性への懸念が高まっています。
広島市は安全性向上のため樹木点検を進めており、平和大通りの公共化計画も進行中です。
広島市の平和大通り沿いで倒木が相次いでいることを受け、広島市は樹木医による詳細な点検を今朝から始めました。
広島市中区の平和大通りでは8日午前、広島市が委託した樹木医が通り沿いにある街路樹の強度を確かめるために器具などを使い点検を行いました。
平和大通りでは去年3月と8月に倒木が発生し、去年9月に通り沿いの街路樹およそ1800本を一斉点検していました。
さらに詳細な調査が必要な樹木については今年9月から再度点検を予定していましたが先月23日にも高さ10メートルの木が倒れたことを受けて点検時期が前倒しされていました。
【久保田記者】
「木が倒れた場所です。支えていたと思われる支柱も残されています。根の断面は割かれたようになっていますね」
【中区建設部維持管理課谷口智優技師】
「地面に近い部分を重点的に見て進めている状況です。市民の関心も高いので一日も早く安心してもらえるよう点検を進める」
広島市は今月中にも調査の必要な415本について点検を終える方針です
<スタジオ>
では、ここから取材した記者とともにニュースを掘り下げるゲンバ推しのコーナーです。久保田記者とお伝えします。
【久保田記者】
平和通りで倒木が相次いでいるなという印象があります。…「公共の場で木が倒れる」こういった事例を県内で見ますとほかの場所でも発生しています。
福山市の公園では去年5月倒木で、ブランコが大破しました。
木が倒れたのは子供のいない時間帯と見られ、けが人はいませんでした。
この時は根の発達が不十分だったことやまとまった雨が原因とされています。
一方、三原市では痛ましい事故も起きています。
今から10年前三原市の公共施設内で高さ15メートルのポプラの木が倒れ1人が死亡、1人が重傷を負いました。このときの倒木の原因は「根腐れ」でした。
Q:公共の場での倒木で実際に亡くなられた方もいらっしゃっる。こうしたことは、あってはいけないですね。
はい。特に平和大通りは人や車の通りが多いので心配です。
先月倒れたのは中区の鶴見橋の近くで高さおよそ10メートルの「アメリカサイカチ」でした。
さかのぼること1年と3カ月前この場所から少し西側でも倒木があり、この時は16メートルの「クヌギ」が停車中の車を直撃しましたが車に乗っていた人にけがはありませんでした。
そのわずか5カ月後にすぐ近くでも7メートルの「トチノキ」が倒れています。
Q:木の種類は様々なんですね
私も取材をした際に一般的な街路樹の寿命を市の担当者に質問しましたが、木の種類がたくさんあって一概には言えないという答えでした。
なぜ、いろいろな種類の木が植えられているかというと、その背景には1957年から始まった「供木運動」というものがありました。
焼け野原になった広島に緑を取り戻そうと植樹活動が行われおよそ2年間で2500本余りが寄付されたといわれています。
平和大通りの緑化は善意から進められてきたこともあり、街路樹は大切に守っていくという方針でした。
広島市はこれまでも点検を複数回行い危険性のある樹木は伐採してきましたが、倒木が相次いだことで点検の基準を厳しくするなど一歩踏み込んだ対応が求められます。
平和大通り、これからはどのように木と共存していくか。広島市は平和大通りのうち「中区」のエリアについては、基本計画に基づき都市公園として民間と一緒に「公園化」して整備する計画を進めています。
松井市長は先日の会見で「多くの人が利用できる施設にし樹木に関してもチェックを厳重にしていく」と話していて、今後、「公園化」されればより賑わいが生まれますので平和のシンボルとしての街路樹もその安全性についても、いかに高めていくかが問われています。