「海から富士山」観光化へ 漁船クルージング誕生 絶景満喫!富士市内回遊向上期待

AI要約

富士山麓で過剰な人気が集まる中、海上からの富士山観光を提案する新しいアプローチが生まれた。

漁船クルージングを通じて富士山を満喫するツアーが展開され、口コミでも評判を呼んでいる。

海と陸を組み合わせた観光で地元経済に波及効果をもたらす可能性が期待されている。

「海から富士山」観光化へ 漁船クルージング誕生 絶景満喫!富士市内回遊向上期待

 一部の撮影スポットに過剰な人気が集まり対応に追われる富士山麓。新たなアプローチとして「海上から見る富士山」を案内しようと昨年、漁船クルージングを運営する企業が富士市に誕生し、海上観光ツアーを展開している。口コミが徐々に広がり、海外からの申し込みも入る。事業者の杉山真郁さん(30)は「富士山の魅力をより引き出し、観光客が存分に楽しめる環境を整えたい」と意気込む。

 クルージングには一本釣り漁船を使用。田子の浦漁港周辺を1時間ほど巡るプランや沼津市の大瀬崎を往復するコースのほか、日の出と同時に赤富士を満喫するツアーも用意する。

 杉山さんは米国に留学した4年間で、富士山の認知度と観光資源としての魅力の高さを感じた。父親が富士市で漁師をしていたこともあり、「釣り人の特権とも言える『海からの絶景』を多くの人に見てほしい」と、帰郷後の2023年9月に「MINAMO合同会社」を設立。完全予約制のプライベートクルージング事業を始めた。

 同事業は、富士山を生かした観光事業活性化に取り組む富士商工会議所と方向性が一致した。22日、地元希望者を募ってモニターツアーを共催。6人が大瀬崎までの片道約40分間の船旅に参加し、写真を撮りながら駿河湾と富士山の眺めを満喫した。富士宮市の篠原誠さん(70)、秀子さん(64)夫妻は「陸からとは富士山の表情が全く違う。日本一深い海と高い山を感じられる」と喜んだ。

 同漁港から2キロほどの場所には訪日客が殺到している「富士山夢の大橋」がある。同橋はにぎわう一方で、周辺への経済波及効果が低いことが課題となっている。同商議所の担当者は「海と陸の観光を組み合わせることで、富士市内の回遊性を高める要素の一つになるのでは」と期待を寄せる。

 (富士宮支局・国本啓志郎)