「キタザト」と呼んでほしくて「Kitasato」と表記した結果…新紙幣の顔・北里柴三郎の読み方は?

AI要約

2024年に発行される新しい紙幣には、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の肖像が描かれ、最先端のホログラム技術が使われる。

北里柴三郎の読み方について、熊本県の記念館は「きたざと」、研究所や大学は「きたさと」としており、経緯も説明されている。

広報課によると、「きたさと」と「きたざと」のどちらも正解とされ、濁音で呼ばれる経緯が紹介されている。

「キタザト」と呼んでほしくて「Kitasato」と表記した結果…新紙幣の顔・北里柴三郎の読み方は?

発行までちょうど2週間となった新しい紙幣。1万円札には渋沢栄一、5000円札には津田梅子、1000円札には北里柴三郎の肖像が描かれる。と、ここで1つの疑問が浮かぶ。それは北里の正しい読み方は「きたさと」なのか「きたざと」なのかという問題だ。

財務省は2023年12月、新たな紙幣について2024年7月3日から発行を開始すると発表した。

新しいデザインによる紙幣の発行は2004年以来、実に20年ぶりだ。

国立印刷局は新紙幣について「150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶」と謳っていて、1万円札、5000円札、1000円札はいずれも肖像の3D画像が回転する最先端のホログラムを採用。この技術が銀行券に用いられるのは世界で初めてだという。

新たな1万円札の“顔”に選ばれたのが、生涯で約500の企業創設・育成に関わり、“近代日本経済の父”と称される渋沢栄一で、5000円札が女性の地位向上や女子教育に尽力した津田梅子、そして1000円札が破傷風を予防・治療する方法を開発した細菌学者であり、“近代日本医学の父”とも呼ばれる北里柴三郎となっている。

ちなみに現在の1000円札に肖像が描かれている細菌学者の野口英世は、新1000円札の顔となる北里柴三郎が所長を務める研究所で研究に従事し、野口が留学する際には北里が便宜を図るなど師弟関係にある。

さて、みなさんはこの北里柴三郎について、「きたさと」と「きたざと」、どちらで読むのが正解と認識しているだろうか?

調べてみると、北里の生まれ故郷である熊本県阿蘇郡小国町にある偉業をたたえるための北里柴三郎記念館は「きたざと」としている一方、ドイツ留学から帰国した北里が福沢諭吉などの支援を受けて開設した日本初の私立伝染病研究所である北里研究所や研究所の創立50周年の記念事業として設立された北里大学は「きたさと」と読んでいることがわかる。

一体なぜなのか?

その答えは北里研究所のホームページに記されていた。

これによれば、元々は「きたざと」と発音するのが正しかったという。

ただ、留学した際にドイツ語で「キタザト」と濁音で呼んでもらうためには「Kitasato」と表記する必要があり、北里は論文等で「Kitasato」と署名。

しかし、この表記だと英語圏の人たちは「キタサト」と発音するため、徐々に「きたさと」と呼ばれることが一般的になったとのことだ。

とはいえ、「きたさと」と「きたざと」の2つの読みが存在する理由はわかったものの、どちらが“正解”なのかは判然としない。

そこで北里研究所広報課に問い合わせてみると「特に“正解”というものはなく、どちらも間違いではありません」とのことだった。