「ゲリラ豪雨甘くみていた」梅雨前に水害の怖さ記者体験 隙間からどんどん水が流れ込み…福井で水防演習に参加

AI要約

福井県福井市で行われた九頭竜川水系総合水防演習の体験ブースを通じて、ゲリラ豪雨の危険性や避難行動の重要性を実感した。

体験では、水中歩行や水没ドアを通じて避難時の困難さと注意すべき点を学んだ。

災害時の適切な行動や防災意識の高め方が明確になった。

「ゲリラ豪雨甘くみていた」梅雨前に水害の怖さ記者体験 隙間からどんどん水が流れ込み…福井で水防演習に参加

 福井豪雨級の大雨、水没して開けられないドア、足元の危険を察知しづらい冠水道路…。5月に福井県福井市であった九頭竜川水系総合水防演習の会場に設けられた体験ブースに参加してみると、テレビでしか見たことのないゲリラ豪雨を甘くみていた自分の認識不足を実感した。

 最初に体験したのは、深さ20~25センチの泥水で冠水した通路を歩く「水中歩行」。つえを頼りに水中の段差や傾斜を確認し、じょうろなどの漂流物を避けながら進む。つえの使い方がよくなかったため、段差が分からず危うく転びそうになることも。主催者の担当者からは「つえはなでるように地面を触って、体の幅より広い範囲を確認して」とアドバイスを受けた。

 実際の避難では、ふたが開いた状態のマンホールや地面の陥没があるかもしれない。泥水によって地面が見えない怖さを今回初めて知り、水没する前に迷わず早めの避難に徹することが大切だと感じた。

 大きな水圧がかかる扉を開ける「水没ドア」は、玄関から冠水した道路に逃げ出すケースを想定したものだ。扉に36キロの水圧がかかる水深30センチでは、両手でなんとか開けることができたが、水圧50キロになる水深35センチではわずかに開くだけ。脱出するだけの広さを確保することは難しかった。しかも隙間からはどんどん水が流れ込んできた。水深40センチ以上になると全く開けることはできなくなった。

 「災害時には2人以上で扉を開け、1人が押さえている間に脱出し、外に出たら扉を押さえて次の人を脱出させるように」と担当者。体験した福井大学の学生は「水没した扉を開けるのは子どもや女性にとっては難しい。実際に雨が降っている時はもっと危険になるだろうから怖いですね」と話した。

 1時間雨量100ミリの猛烈な雨を体験する部屋では、風がないにもかかわらず傘は役に立たなかった。実際の大雨の時にしっかりと歩けるか大きな不安を感じた。

 会場では過去の自然災害の写真や県内のハザードマップの展示もあった。地震による液状化現象を実験装置を使って説明するブースもあり、来場者は防災意識を高めた。