全国交通系ICカード問題 熊本市「スマホアプリの周知に努める」

AI要約

熊本県内の路線バスなどで全国共通の交通系ICカードが使用できなくなる問題が熊本市議会で取り上げられた。

地域内のみのICカードは引き続き利用可能で、クレジットカード決済も導入されるが、全国共通ICカードは廃止される予定。

事業者負担の問題もあり、市長は国の支援を求めており、路線バスなどの収支も赤字状態である。

全国交通系ICカード問題 熊本市「スマホアプリの周知に努める」

 熊本の路線バスなどで、SuicaやSUGOCAなど全国共通の交通系ICカードが使えなくなる問題をめぐり、6日の熊本市議会でも取り上げられました。

 井本正広議員

「支払い方法を制約し、利便性を低下させることになるのではないでしょうか」

 熊本県内の路線バスと熊本電鉄の5事業者が発表した運賃の支払い方法の変更。新たに、クレジットカード決済ができる機器を導入するもので、地域限定型のくまモンのICカードは引き続き使用できますが、今年度内に全国共通の交通系ICカードの対応が廃止される方針です。

 昨年度、5社を利用したのべ2394万人のうち、全国交通系ICカードを利用しているのは2割以上。

 熊本県外から訪れた観光客に聞いてみると「旅行している人は不便だよね。1枚のカードでどこでも地下鉄でもバスでも乗れるので、すごく便利だと思っていたんですけど」「不便になっちゃいますね(Qクレジットカードのタッチ決済は可能ですが)まだやっていない」

 熊本市民からは「何が使えるかがわからないのが一番困る」「今後(熊本に)来られる方はクレジットで使えるし、市民はくまモンカードを利用したらいいのかな」などの声が聞かれました。

 この問題の背景には、事業者に重くのしかかる財政負担があります。2016年3月に導入した全国交通系ICカードの読み取り機器が来年3月末に契約満了を迎えるため、計900台分の更新に約12億1000万円かかるとしていますが、国などの補助は受けられません。一方で、新たな機器の導入費は6億7400万円で、新規事業として国や熊本市の助成があるため、事業者の負担は2億円程度に抑えられるといいます。

 費用については、熊本市の大西一史市長も会見で触れていました。

大西市長

「この問題の本質は、更新費用が高すぎることです。地域のユーザーの利便性を削ってでも路線を維持する経費にあてないといけないのは、あってはならないことと思うので、国に支援についても求めていきたい」

 2022年10月から23年9月にかけての路線バスと鉄道事業の収支を見ると、5つの事業者すべてが赤字で、なかでも産交バスは22億4300万円の赤字となっています。