【環境考察/気象の変化】台風被害甚大に 水温の高さ、勢力比例

AI要約

近年、台風や大雨による深刻な被害が各地で相次いでいる。2019年10月の東日本台風(台風19号)では、関連死を含め県内で40人が犠牲になった。研究者は気候変動の影響を指摘し「今後も強い雨や台風が発生する可能性は高い」と警鐘を鳴らす。

県内では2022年8月、大雨で会津を中心に大きな被害が出た。これについても、台風に伴う影響を指摘する声がある。大気と豪雨の関係を研究している同機構研究員の趙(ちょう)寧(ねい)(35)によると、この時期に発生した台風6号は九州から北上して韓国付近で消滅したが、「強い風の影響で水蒸気が『大気の川』となって運ばれ、東北地方に雨を降らせた」という。「温暖化によって風が強くなれば、台風から離れた場所でも強い雨が降る可能性がある」と趙は話す。

東北地方で今後気温が2~4度上昇した場合、1時間に30ミリ以上の雨が降る回数は、20世紀末(1980~99年)と比べて21世紀末(2076~95年)では1・6~2・5倍に増加すると見込まれている。一度に降る雨の量が増えれば被害が甚大化し、生活に大きな支障が出る恐れがある。積雪や水環境などを研究する東北大工学研究科土木工学専攻教授の風間聡(57)は「今後、気温が上昇していくのは間違いない。そのための対策を早いうちに、できることからやっていくことが重要だ」と強調する。(文中敬称略)

【環境考察/気象の変化】台風被害甚大に 水温の高さ、勢力比例

 近年、台風や大雨による深刻な被害が各地で相次いでいる。2019年10月の東日本台風(台風19号)では、関連死を含め県内で40人が犠牲になった。研究者は気候変動の影響を指摘し「今後も強い雨や台風が発生する可能性は高い」と警鐘を鳴らす。

 県内では2022年8月、大雨で会津を中心に大きな被害が出た。これについても、台風に伴う影響を指摘する声がある。大気と豪雨の関係を研究している同機構研究員の趙(ちょう)寧(ねい)(35)によると、この時期に発生した台風6号は九州から北上して韓国付近で消滅したが、「強い風の影響で水蒸気が『大気の川』となって運ばれ、東北地方に雨を降らせた」という。「温暖化によって風が強くなれば、台風から離れた場所でも強い雨が降る可能性がある」と趙は話す。

 東北地方で今後気温が2~4度上昇した場合、1時間に30ミリ以上の雨が降る回数は、20世紀末(1980~99年)と比べて21世紀末(2076~95年)では1・6~2・5倍に増加すると見込まれている。一度に降る雨の量が増えれば被害が甚大化し、生活に大きな支障が出る恐れがある。積雪や水環境などを研究する東北大工学研究科土木工学専攻教授の風間聡(57)は「今後、気温が上昇していくのは間違いない。そのための対策を早いうちに、できることからやっていくことが重要だ」と強調する。(文中敬称略)

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 ■台風の仕組み 強い日差しで海が温められて水蒸気が発生し、空気と混ざって上昇する。上昇に伴い空気は冷却され水蒸気は水滴になり、雲や積乱雲ができる。その際放出される熱が周りの空気を暖めることで、気圧の低下と上昇気流の強化が生じ、渦が強まって台風となる。