長編第1作が上海国際映画祭にノミネート プロ野球に憧れた26歳監督が描く鹿児島の四季

AI要約

伊地知拓郎さんは、上海国際映画祭にノミネートされた若手映画監督であり、自身の経験を元にした長編第1作「郷」が評価されている。

彼は鹿児島出身であり、地元の美しさを世界に伝えることに情熱を持っている。作品は県内各地の四季を描き、地元の人々や海外の観客に共感を呼ぶことを目指している。

伊地知拓郎さんは26歳で、マハトマ・ガンジーの言葉を座右の銘とし、映画を通じて世界の人々の心を豊かにする夢を持っている。

長編第1作が上海国際映画祭にノミネート プロ野球に憧れた26歳監督が描く鹿児島の四季

■「かお」上海国際映画祭にノミネートされた伊地知拓郎(いじち・たくろう)さん=姶良市

 上海は、世界の映画や音楽を教えてくれた父・陳躍さん(2003年度南日本文学賞受賞者)の出身地で、映画の専門大学「北京電影学院」に入学する前の半年間、叔母の家に身を寄せ中国語を猛勉強した。そんな思い出の地でレッドカーペットを踏む。「とっても感慨深い」としみじみ語る。

 アジア新人部門で最優秀作品賞などにノミネートされた長編第1作「郷」には、プロを夢見て高校で野球部に入ったが挫折、退学し開陽高校に編入した自身の経験が反映されている。作中に退学した高校近くの球場も出てくる。「振り返るとあの苦労もよかったのかな」。歳月を経て芸術へと昇華させた。

 日本を飛び出し世界を旅して気づいたのは、古里鹿児島の美しさだ。「郷」では1年かけて撮影した県内各地の四季が見どころ。「地元の人に唯一無二だと知ってほしい。海外の人には新鮮味を持ってもらえれば」。7月14日に薩摩川内市で無料上映会を開く。中国での上映が決まり、鹿児島と東京では早ければ秋にも劇場公開される。「プロデューサーの力」と盟友小川夏果さんへの感謝も忘れない。

 好きな監督は「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン。「郷」に出演した祖母のいる姶良市に住み、鹿児島市の実家にもよく行く。実家に飾られたマハトマ・ガンジーの言葉「善きことはカタツムリの速度で動く」が座右の銘。「映画を通して世界の人々の心を豊かにする」夢をゆっくりとかなえていく26歳。