熱中症、梅雨明け前後で増える? 気温高くなくても湿度に注意、早めの対策を

AI要約

都医師会は熱中症対策の重要性を呼びかけており、特に高齢者への影響が懸念されている。

昨年の猛暑による熱中症患者が急増し、救急医療現場が逼迫した状況が報告されている。

気温だけでなく湿度もリスク要因であり、梅雨明け前後から熱中症が急増する傾向がある。

熱中症、梅雨明け前後で増える? 気温高くなくても湿度に注意、早めの対策を

今年も熱中症に警戒が必要な季節が迫ってきた。熱中症は気温が高くなる8月に先立ち、湿度の高い梅雨明け前後に高齢者を中心に増える傾向がある。都医師会は暑さが本格化する前にエアコンの使用やこまめな水分補給など、早めの熱中症対策を取るよう呼びかけている。

昨年、都内では真夏日が64日間連続するなど異常な猛暑で熱中症による救急搬送が急増。新型コロナウイルス患者の増加も重なり、救急医療の現場が逼迫(ひっぱく)した。

東京消防庁によると、令和5年6~9月に熱中症で救急搬送されたのは前年比18%増の7112人。過去5年間で最も多かった。

このうち約4割に相当する2580人が入院が必要だと診断され、うち重症以上は200人。なかでも36人は生命の危険が迫っていると診断され、1人が死亡した。

入院が不要と判断された人まで含めた年代別では、65歳以上の高齢者が3688人(51・9%)と最も多く、このうち約7割の2758人が75歳以上だった。

■湿度もリスク

時期別にみると、熱中症は真夏に入る前から増え始める。

昨年6月の救急搬送は674人で、梅雨入りとともに徐々に増え、関東甲信地方の梅雨明け(7月22日)を前にした18日に、1日の最多276人を記録した。7月は、過去5年間で最多の3502人が救急搬送された。

発生場所は、住宅などの居住場所が全体の約4割、次いで道路・交通施設などが約3割だった。

気象条件と照らし合わせると、救急搬送者数が集中しているのは気温が25~35度、湿度が50~80%の範囲内だ。

気温が高くなくても湿度が高いときには救急搬送者が多くなっており、熱中症のリスクが湿度にも左右されることがみてとれる。

■今夏も暑い予報

昨年6~8月の全国の平均気温は気象庁の観測史上最も高くなり、東京でも年間の最高気温が35度以上を超える猛暑日が過去最多を更新した。

気象庁が今年5月21日に発表した3カ月予報では今夏の気温も全国的に高いと見込んでおり、今年も熱中症への警戒が求められる。

都医師会の川上一恵理事は同月22日の定例記者会見で、熱中症が疑われる危険な症状として①呼びかけに反応せず、おかしな返答をする②真っすぐに歩けない③自分で水分補給ができない-を列挙。こうした症状が現れた場合は「すぐに救急車を呼ぶ必要がある」と訴えた。