報道で関心「参考にしたい」 三重・松阪の選定療養費 静岡・富士市議会が視察

AI要約

松阪市では新制度に関する静岡県富士市議会の会派が視察を行った。視察は初めての公式訪問であり、市民の関心も高い。

松阪市と富士市の救急医療状況や医療人材の比較が行われ、両市の違いが明らかになった。

松阪市の新制度では救急搬送患者からの選定療養費を徴収するが、一部例外があることが説明された。

報道で関心「参考にしたい」 三重・松阪の選定療養費 静岡・富士市議会が視察

 三重県松阪市は27日午後1時すぎから、同市春日町一丁目の市健康センターはるるで選定療養費に関する静岡県富士市議会の会派・心政富士(下田良秀代表、5人)の視察を受けた。松阪市内の3基幹病院で選定療養費の徴収を救急搬送者にも拡大する新制度を市が公表して以降、新制度に関した議員団の公式な視察は初めて。下田代表は「新聞報道などで話題になっており、関心があった」と視察の動機を口にした。

 来松したのは同会派の全議員。松阪中央総合(川井町)、済生会松阪総合(朝日町一区)、松阪市民(殿町)の3基幹病院と市、多気郡3町、松阪地区医師会、松阪地区広域消防組合で組織する「一次二次救急医療体制のあり方検討会議」で事務局を務める市健康づくり課が迎え対応した。

 住民基本台帳による人口(4月1日時点)は静岡県東部に位置する富士市の24万7121人に対して、松阪地区広域消防組合管内の松阪市(15万6711人)、多気郡多気町(1万3727人)、明和町(2万2798人)は計19万3236人。救急車の出動件数は2023(令和5)年で富士市消防本部の1万1677件に対し、松阪消防管内は1万6180件に上った。一方、地域の医師数は富士市医師会が会員数337人に対し、松阪地区医師会が同471人と松阪地区は医療人材面では富士市より充実した環境にある。

 下田代表によると富士市では救急隊が搬送先決定までの照会に、6回または30分以上要するという「630問題」が深刻化。市議会でも会派を問わず市議が一般質問などで取り上げるなどしており、今後の〝参考材料〟とするため視察に訪れた。

 約2時間、市健康づくり課から説明を受けた下田代表は「どのような制度設計になっているのか、市民の皆さんがどう感じているのか関心があった。松阪は救急車の出動件数は多いが、医師も多く、そこは逆にうらやましいぐらい。地域の状況がかなり違うんだなと感じた」と感想を口にし、市健康づくり課でも「630問題など地域ごとにいろいろな課題があると感じた」と話した。

 同課によると選定療養費の新制度に関して、市議会事務局を通した地方議会の視察は初めて。執行機関側では都道府県レベルで1団体からの視察を受け入れている。

 松阪市内の3基幹病院で始まる選定療養費の新制度は6月1日午前8時半から。救急搬送患者のうち軽症者から7700円を選定療養費として徴収する。ただし▶紹介状持参者▶公費負担医療制度の対象者▶災害被害者▶労働・公務災害、交通事故▶教育・保育機関からの搬送者──と「医師が判断した場合」は対象外。