臓器摘出手術の7割超が休日に集中、平日は人員や病床が逼迫…受け入れ断念が増加する恐れ

AI要約

今年の脳死下の臓器提供手術の7割超が休日に集中しており、受け入れの断念が増加する懸念がある。

休日に摘出手術が計画される背景や、受け入れ断念のケースが増えている現状が明らかになった。

休日の摘出手術率は増加傾向であり、移植施設での臓器受け入れが課題となっている。

 脳死下の臓器提供を巡り、今年に行われた摘出手術の7割超が休日に集中していることが、読売新聞によるデータ分析でわかった。移植施設への臓器の受け入れ要請が休日に集中することで、人員や病床が逼迫(ひっぱく)し、この傾向が続けば受け入れの断念が増加する恐れがある。

 本紙は、日本臓器移植ネットワークの資料を分析した。28日時点で脳死下の臓器提供は46件あり、うち76%にあたる35件の摘出手術が土日祝日(正月三が日を含む)に集中していた。1日の間に2件以上の臓器提供があった日は10日間で、うち9日間は休日だった。

 背景には、平日は提供施設の手術室が予定で埋まることが多く、人員や病床を確保しやすい休日に摘出手術が計画されることや、脳死者の家族が看取(みと)りのため集まりやすいことなどがあるとみられる。休日の摘出手術率は近年増えており、2016~19年には平均41%だったが、20~23年は同61%に増えた。

 同じ日に特定の移植施設に複数の臓器の受け入れ要請が集中することで、受け入れを断念するケースが相次いでいる。日本移植学会の緊急調査によると、昨年は、東京大、京都大、東北大の3大学病院で計62件の受け入れ断念例があった。