転職先で「朝礼準備のため1時間前に出社して」と言われています。「新人なら当たり前」とのことですが、本当に早く出社するべきですか? 残業代は支払われるのでしょうか…?

AI要約

新人が朝礼や打ち合わせの準備のために早く出社することが求められる場合、法的な問題はないがハラスメントの可能性もある。

業務の適正な範囲内であれば朝早く出社することや残業することは通常の労働指示とされるが、労働基準法を遵守する必要がある。

従業員は就業規則に基づいて行動するが、断ることが難しい場合もあるため、上司や人事に確認することが重要。

転職先で「朝礼準備のため1時間前に出社して」と言われています。「新人なら当たり前」とのことですが、本当に早く出社するべきですか? 残業代は支払われるのでしょうか…?

仕事の内容や働き方は企業や職場によって全然違うことが多く、なかには「新人は朝礼や打ち合わせの準備のために早く出社するべき」と言われるケースもあるかもしれません。

最近では、昔に比べてコンプライアンスが強化されてパワハラやセクハラなどのハラスメントが問題視される傾向がありますが、「始業時間よりも早く来い」と要求されるのはパワハラなのでしょうか。

本記事では、上司から「1時間早く出社するのは当たり前」と言われたら従わなければならないのか、早出すると残業代は支給されるのか解説します。

結論からいえば、始業時間よりも早く出社するように求めること自体は直ちに違法となるわけではありません。業務の適正な範囲内であれば通常の労働指示とみなされる可能性が高いため、特別な事情もなく「朝早く出社するのは嫌だ」といった理由で断るのは現実問題として難しいと思われます。

定時を過ぎた後の残業も同様ですが、「繁忙期で業務量が多い」などの合理的な理由で、自発的あるいは上司から指示を受けて時間外労働をすることは珍しくありません。

ただし、あくまで一般的に「36協定」と呼ばれる協定を労使間で締結していたり、法定労働時間を超える場合は割増分を含む賃金を支給していたりすることが前提となります。

しかし、たとえ業務の適正な範囲内であっても、個別には具体的な状況に鑑みてハラスメントに抵触すると判断される可能性もあります。

厚生労働省によると、パワハラは次の要件を全て満たすものと定義されています。

●優越的な関係を背景とした言動

●業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

●労働者の就業環境が害される

また、労働基準法第5条では「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」と強制労働の禁止が規定されています。

上司が部下などを暴行や脅迫、監禁するのはもちろん論外ですが、言葉の暴力で精神的に追い詰めたり、断りにくい雰囲気を作ったりすることも問題となる可能性があります。

従業員は基本的に雇用契約書や就業規則で規定されているルールにのっとり勤務します。そのため朝早く出社することに明確な理由や根拠がなければ応じる義務はないと考えられます。

しかし、実際は断りにくいケースも多いため、まずは上司(難しい場合は総務や人事担当者)に、新入社員が朝礼準備で朝早く出社するのは通常の労働にあたるのか確認することをおすすめします。というのも「新人は早く出社すべき」というのは上司個人の考えや価値観であるケースもあるからです。会社として「新入社員の1時間前出社」は黙認しているのか、業務の適正な範囲内といえるのかなど確認してみましょう。