「早寝早起き」で生活や学習が乱れる子はいない…小児科医が「睡眠不足はやめろ」と繰り返すワケ

AI要約

失敗した子育てをやり直すためには、いつからでも脳の可塑性を活用して早寝早起きの習慣を身につけることが重要だ。

脳の育て直しは何歳であっても可能であり、大きな子でも生活リズムを整えるために早起きを促すことがポイント。

子どもが自分の好きな活動を楽しめるよう配慮しつつ、規則正しい生活リズムを確立することで、早寝早起きの習慣を身につけやすくなる。

「失敗した子育て」をやり直すには、どうすればいいのか。小児科医で『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)を書いた成田奈緒子さんは「人間の脳には可塑性があるので、いつからでもやり直しはできる。そのときに何より重要なのは、早寝早起きの習慣をつけることだ」という――。(聞き手・構成=ライター・村井裕美)(後編/全2回)

 (前編からつづく)

■子育てはいつからでもやり直せる

 ――幼児期に早寝早起きの習慣ができないまま大きくなったお子さんの場合、「からだの脳」を育て直すことはできるのでしょうか? それとももはや手遅れなのでしょうか?

 脳には可塑性がありますから、いつからでも育て直すことができます。大人になってからでも可能です。

 そして脳の育て直しは何歳であっても、早寝早起きの生活リズムを叩き込み、「からだの脳」を育てることから始まります。

 ――では大きな子の場合、どうやって生活リズムを作っていけばいいのでしょうか? 自我ができてくると親の言うことをなかなか聞かなかったり、幼児より難しいのではと思うのですが。

 小さい子と基本は同じですね。起きる時刻を早めるんです。小学校高学年あたりぐらいまでだと、きちんと親御さんが論理立てて説明をしてあげれば、「やってみようかな」という気になってくれると思います。例えば夏休みなら、朝明るくなるのも早いし、始めやすいのではないでしょうか。

 その時には「朝なら自分の好きなことをいくらでもやっていいよ」と言ってみましょう。例えば5時に起きて、6時半に朝ごはんを食べるとすれば「5時から6時半まではゲームをずっとやっててもいいし、自分の好きなドラマを見ていてもいいし、外に行ってバスケットボールの練習をしてもいいし、なんでも自分の好きな活動をしていいよ。その代わり、夜は絶対に9時に寝るからね」と話しましょう。前にお話しした小さい子の場合もそうですが、子供って楽しいことがあると意外と早起きできるので、この作戦でけっこううまくいきます。

 でも中学校ぐらいになって、思春期や反抗期を迎えた子は、なかなか親が言っても聞きません。でもアクシスで私たちが科学的な根拠を伝えると「じゃあやってみようかな」と取り組む子はいます。