「王道の指し回し」と西山朋佳女流三冠がほれ込んだ新星・大島綾華女流二段…3タテ敗退も、局後はほのぼの同士まるで「姉妹」

AI要約

将棋のマイナビ女子オープン五番勝負で、西山朋佳女流三冠が3連勝して7連覇を達成した。

21歳の大島綾華女流二段がタイトル初挑戦し、高い評価を受ける一方、今年度の活躍が話題となっている。

対局での大島女流二段の実力や将棋への熱意が際立ち、西山女流三冠もその才能を高く評価している。

 将棋のマイナビ女子オープン五番勝負は女王を保持する西山朋佳女流三冠が、タイトル初挑戦の大島綾華女流二段に3連勝のストレート決着で7連覇を達成した。昨年から、将棋界で評価が高まっている21歳の大島女流二段。西山女流三冠は「王道の大島さんの将棋が好き」とほれ込んでいて、期待の若手に「胸を貸す」シリーズとなった。(読売新聞デジタル編集部・吉田祐也)

 3年前、女流棋士となった大島女流二段。2023年度は飛躍の年だった。年度成績32勝9敗で勝率7割8分。西山女流三冠をおさえ、女流の最高勝率だった。3か月ほど前、兄弟子の片上大輔七段は「大島さんは急激に力をつけた。本筋の将棋で見応えがある」と評していた。23年度は福間香奈女流五冠、伊藤沙恵女流四段、加藤桃子女流四段と女流強豪を次々と破った大島女流二段。マイナビ女子オープンでは挑戦者決定戦に駒を進めていた。

 3月に行われた挑決の舞台でも臆するところがなかった大島女流二段。北村桂香女流二段に快勝し、西山女流三冠への挑戦権を手にした。女流タイトル初挑戦。局後は、部屋に詰めかけた報道陣に少し驚いた様子も見せた初々しい大島女流二段。大舞台に向け「まだ実力不足ですが、熱戦にできるよう準備したいです」と答えた。

 トップの存在である西山女流三冠とは、2月の女流王位リーグで初対戦していた。上座に入った西山女流三冠を目にした大島女流二段は「わあ、西山さんだ。迫力がある」と心の中で思ったそうだ。そんな、ほのぼの系の大島女流二段だが、盤上ではきびきびと指し、西山女流三冠を限界まで追い詰めた。詰みを逃し、粘られた末の逆転負け。「西山さんは中終盤が強く、自分とは力の差がありました」と語った。

 その対局で大島女流二段の筋の良さに感心し、居飛車本格派の将棋にほれ込んだ西山女流三冠は「男性棋士と対局している感覚でした。自分から勝ちに行く王道の指し回し。伸びている勢いも感じましたし、マイナビの五番勝負は楽しみですが、大変なシリーズになりそうです。大島さんは対抗形に相当強いイメージがありますから」と話した。