2000円超の虫パフェに「スイーツ好き」が大注目 発売5年目のリニューアルが昆虫食初心者も惹きつけたワケ

AI要約

東京の渋谷にあるPARCOで5年前から提供されていた昆虫パフェが、今年の8月にリニューアルされ、虫の姿が消えていると話題になっている。

『米とサーカス渋谷PARCO店』では、新作パフェのリニューアルにより消費者の心理的ハードルを下げつつも昆虫食を提案している。

記者が同店を訪れ、昆虫食デビューを果たし、様々な昆虫を味わいながら独自の食体験をしている。

2000円超の虫パフェに「スイーツ好き」が大注目 発売5年目のリニューアルが昆虫食初心者も惹きつけたワケ

 東京の若者が集う街・渋谷で、アート・カルチャーを牽引する商業施設PARCO。そこの地下に『MUSHIパフェ』(2380円・税込)が登場したのは5年前のこと。昆虫とジビエに特化した居酒屋『米とサーカス渋谷PARCO店』が、2019年11月の開店時に看板メニューとしてタガメが一匹まるごとドーンと乗ったパフェを発売すると、その衝撃的なビジュアルが話題を席巻した。そんな『MUSHIパフェ』は今年8月1日にリニューアル。現在はパフェから、虫の姿が消えていると話題なのだ。

 昆虫は、その高い栄養価と環境負荷の低さから、今後世界を待ち受ける人口増加による食糧難や地球温暖化問題を緩和する切り札として注目されている。しかし、まだまだ未知の食料。少なくとも日本において広く普及するには消費者の心理的なハードルは高いだろう……。

 そんななか、『米とサーカス渋谷PARCO店』が5年ぶりに出した新作パフェは、消費者心理の変化を見越したかのようなリニューアルだという。それを確かめるべく、弊サイト記者は同店へ向かった。

   独特の雰囲気が漂い、何かが待ち受けている予感しかしない入り口。

 店に入ってすぐ記者の目に飛び込んできたのは、カウンター席にずらりと並ぶタツノオトシゴ、ハブ、マムシなどを漬け込んだ酒瓶だ。もはや見ているだけで元気になれそうなパワーを感じる。

 案内された席に着くとまずはドリンクを注文。記者は桑の葉を食べて育ったカイコの糞を乾燥させたものを水で煮詰めて作ったという『糞茶』(450円)をオーダー。カイコは桑しか食べないため、糞の原材料は桑の葉100%。匂いは無臭で見た目も普通の中国茶だ。

 糞茶で心の準備をしたところで、記者もパフェの前に昆虫食デビューをしておくことに。初心者には何種類かの食べ比べセットが用意されており、今回は「昆虫10種食べ比べセット(超上級編)」(3480円)に挑戦。

 上段は左から順に、タガメ、バンブーワーム、蜂の子、バッタ、コガネムシ。中段左からジャイアントミールワーム、オケラ、コオロギ。下段左から水アブの幼虫、ツムギアリの卵。

 やはり見た目のインパクトあるが、いざ実食する蜂の子やツムギアリの卵はスイーツ感覚で味わえる。香ばしく、カリッとしているのはバッタやコガネムシ。人によっては「エビのよう」とも感じるだろう。オケラやコオロギはバッタなどに比べて体が大きくなるせいか、サクサクしたなかにも“身”を感じる。

 10種類の虫たちが並んだプレートに一瞬ひるんだが、不思議なもので、一つ口に入れてしまえばあとは“こんなもんか”という気持ちに。ちなみに店長の石井さんによれば、コオロギは「オーダーメイドで育てている」のだとか。虫は体が小さいため、虫が食べたものでその味もずいぶん変わってくるのだそうで、同店の昆虫食へのこだわりがうかがえる。

 ザ・幼虫といった風貌の水アブの幼虫やジャイアントミールワーム、バンブーワームのうち、水アブの幼虫はそれほどクセがないのに対し、名前通り大きなジャイアントミールワームはクセしかない。酸っぱみのある風味が強烈で、いつまでも舌に残る後味が何とも言えない。一方でバンブーワームはまるでポテトフライ。スナックのようで、ビールのつまみにいくらでも食べられそうな美味しさだった。

 いよいよ最後はタガメの登場。タガメは小さなハサミを渡されるので、“解体”方法を書いた説明書通りに体を切り開き、中の黄色い身だけを食べる。これが不思議なことに、タガメの腹を切り開いた瞬間、ふわぁーっと青りんごの香りが広がるのだ。まさか、いかついタガメの中からこんな果実味のある芳香が漂うとは、そのギャップは一度味わうと病みつきになりそうだ。