はせがわゆうじ 20万部突破の『もうじきたべられるぼく』を描いた理由。「あたりまえを疑うことで物語は生まれた」
10年前にTikTokで話題となった『もうじきたべられるぼく』が絵本化され、注目を集めている。
作品のインスピレーションは、普通のことに疑問を持つことによって得られた。
物語は動物の運命の違いを描いたもので、作者が日常の当たり前に疑問を持った結果生まれた。
「号泣注意」のキャッチコピーともに、読み聞かせ動画がTikTokで300万回再生されて話題となった物語『もうじきたべられるぼく』。動画だけで拡散されていた物語が、10年の月日を経て、絵本『もうじきたべられるぼく』として刊行され、版を重ねて話題になっています。絵本『もうじきたべられるぼく』が生まれるきっかけとなったのは、当たり前を疑うことだったそうで……。人生観がつまったイラストエッセイ「なんだもんぱんだもん」です。
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◆あたりまえを疑ってみる
絵本「もうじきたべられるぼく」が思いがけず大勢の人に
話題にしていただいています。
この本はずいぶん前の作品で、当時世の中の不条理なことについて
いろいろ考えていた時に出来たものでした。
日々あたりまえと思っていることが、果たしてほんとにそうなのか?
そう考えるきっかけになったのは、アインシュタイン博士の伝記を読んだ時でした。
アインシュタイン博士は子供のころ、遠ざかるにつれて短く見える電柱を見て
なぜだろう?と考えたそうです。
そんなこと普通考えますか!?
あたりまえでしょう~!で済んじゃう話なのに…
それから物理に興味を持ったんだそうです。
◆動物の運命の違いを絵本に
自分も考えてみました。
知らず知らずのうちにこの日本という社会に必然的に育ち
当然のように常識を受け入れ
あたりまえのように暮らして来たけれど…
なんかおかしなことしちゃってないかな~って。
そんな時、牛がいっぱい運ばれていくトラックを見かけたのです。
檻の隙間から鼻先がいくつも出ていました。
その向こう側にはおしゃれに着飾った人々が楽しそうにしていて…
そして思いました。
動物園の動物と家畜の動物のあまりにもの運命の違い。
最初はリアルな絵で現実的なストーリーを考えたり
いやいやこれじゃあ辛くて絵本には無理だろうと
「わてらもうちょっとよくしてもらってもええんちゃいますか~?」
って牛さんや豚さんが叫ぶギャグ漫画的なものを考えたり…で
最終的に今の形に落ち着きました。
こんなに時間を経た後に、こんなにみなさんに見ていただけることになって
ひたすら嬉し恥ずかしです。