見ている「スマホ」を今すぐ手放せますか?便利さと引き換えに「スマホ依存症」で私たちが失うもの
スマートフォン依存症とその深刻な影響について、心療内科医の飯島慶郎氏による説明。
スマートフォンの過剰使用が精神的健康に与えるリスクと、学習能力や学業成績への悪影響。
スマートフォン依存症の問題は急速に拡大し、真剣に取り組む必要がある。
スマートフォンは、私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、その便利さの裏には新たな問題が潜んでいます。
近年、その問題の深刻さに注目が集まる「スマートフォン依存症」について、心療内科、総合診療医、漢方医などマルチドクターとして活動し、診療科の垣根を越えた総合的な心身医療を行っている、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック院長の飯島慶郎氏に聞きました。
「スマートフォン依存症」は、スマートフォンの使用を制御できなくなり、日常生活に支障をきたす状態を指します。
現在は医学的に認められた病名ではなく、正式な診断基準も確立されていませんが、研究者たちは問題の実態把握と対策の必要性を認識しています。
ある大規模な調査によると、子どもと若者の約4人に1人(23.3%)が「スマートフォン依存症」の傾向を示しているとわかりました(※1)。この数字は、たとえ「スマートフォン依存症」が正式な診断名ではなくとも、私たちが真剣に向き合うべき問題であることを示唆しています。
スマートフォンの過剰使用は、私たちの心と体に様々な影響を与える可能性があります。ある研究では、精神的健康問題との強い関連が明らかになりました(※2)。
具体的には、次のようなリスクが高まるとわかっています。
・うつ病になる可能性が約3倍に
・不安障害を発症する可能性が約3倍に
・ストレスの感じやすさが約1.9倍に
・睡眠の質が悪くなる可能性が約2.6倍に
これらの数字は、スマートフォンの過剰使用が単なる習慣の問題ではなく、私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があることを示唆しています。ただし、因果関係については更なる研究が必要です。
スマートフォンの過剰使用は、学生の皆さんにとっても大きな問題となり得ます。ある研究チームが行った分析で、スマートフォンへの依存傾向は、大学生の学習能力と全体的な学業成績に悪影響を与えることがわかりました(※3)。
具体的には、以下のような問題が起こる可能性があります。
・集中力の低下
・学習時間の減少
・授業中の注意散漫
・記憶力の低下
・課題の提出遅れや未提出