「コスメデコルテ」“リポソーム”は大谷売れで大ヒット 百貨店スキンケア首位の秘密

AI要約

コスメデコルテのロングセラー美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」が、29年間の歴史を持つ「ベスコス歴代名鑑」で取り上げられる。

1984年にリポソームの研究がはじまった経緯や、製品化までに8年を要した苦労など、製品の背景について解説。

2021年にエイジングケアをアピールするアップグレード版が登場し、大谷翔平選手の広告起用により男性客の注目を集めるなど、新たな展開も紹介。

「コスメデコルテ」“リポソーム”は大谷売れで大ヒット 百貨店スキンケア首位の秘密

2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。連載「ベスコス歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞する“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「コスメデコルテ(DECORTE)」のロングセラー美容液“リポソーム アドバンスト リペアセラム”にフォーカス。

「コスメデコルテ」といえばリポソーム、と言われるほど、ブランドの代名詞となった“モイスチュア リポソーム”。1992年に誕生して、29年にわたりロングセラーを続けてきた美容液だが、2021年にエイジングケアを訴求した“リポソーム アドバンスト リペアセラム”としてアップグレード。さらなる肌効果に加え、23年にロサンゼルス・ドジャース所属のメジャーリーガー、大谷翔平選手を広告に起用したことで、スキンケアに関心が低かった男性が店頭に足を運ぶという“大谷売れ”旋風も巻き起こした。

リポソームとの出合いはうっかり間違いから

そんな「コスメデコルテ」とリポソームの出合いは、うっかり間違いから生まれた出来事というから驚きだ。今からさかのぼること約40年前。当時の化粧品研究員が細胞内小器官のひとつである“リボソーム”に関する講演会に行こうと思い、会場に向かったところ、そこで行われていた講演内容は、ボとポの1文字違いの“リポソーム”。講演タイトルを見間違えたことで、内容がまったく異なる研究発表だったものの、リポソームは成分のデリバリー技術として医療でも採用されていたことから、「これを化粧品に入れたら面白そう」と興味がわき、1984年に社内でリポソームの研究がはじまったという。

ただ、リポソームはたまねぎ状に幾重にも重なる層で構成された0.1~0.2ミクロンの球状からなる主に医療分野で研究されていた技術であったこともあり、当時の研究解析技術では化粧品への配合安定性を証明するのには難があった。そのため、その存在を証明し製剤化するために8年を費やし、92年に晴れて業界初のリポソームを名乗ることのできる化粧品を世に送り出すことに至った。