東京大学、授業料値上げ案を正式発表…学生支援も拡充

AI要約

東京大学が2024年に授業料を2割値上げし、学生支援の拡充案を発表。

値上げは2005年以来で、国立大学授業料の標準額に改定。

授業料免除基準を拡大し、経済的問題の相談支援窓口を強化。

東京大学、授業料値上げ案を正式発表…学生支援も拡充

 東京大学は2024年9月10日、授業料改定案と学生支援の拡充案を発表した。授業料を2割値上げし、10万7,160円増の年額64万2,960円とする方針を明らかにした。現在の在校生の授業料は据え置き、学士課程では2025年4月入学者から適用するとしている。

 東京大学の授業料の値上げは、2005年以来。今回の改定案については、国立大学法人化以降、運営費交付金の確保に向けた努力に加え、財務の強化・多様化を通じて学びの環境の整備を進めてきたが、高等教育におけるグローバルな競争が激しさを増す中、学生のための教育学修環境の改善は「待ったなし」だと説明。国立大学授業料の標準額と同額の53万5,800円から、法令に規定された上限120%にあたる年額64万2,960円に改定し、教育学修環境改善に活用するとした。

 授業料改定は、学士課程では2025年4月入学者からとし、在学生は据え置く。修士・専門職学位課程(法科大学院を除く)については、現在の学部学生が学士課程を標準的に卒業して修士課程を修了するまでは現行の授業のまま修学できるよう、2029年度入学者から適用。博士課程の授業料は据え置く。

 「経済的には貧しくとも、優秀であれば東京大学で学べる」という伝統を引き続き重視するため、授業料改定とあわせて、授業料免除の枠を拡大。全額授業料免除の対象者は、現行の世帯収入400万円以下から、世帯年収600万円以下とする。加えて、家計基準では授業料免除の対象外となる世帯収入600万超~900万円以下の学生についても、出身地など個別の状況や事情を勘案して一部免除を行う。

 また、経済的問題の相談支援窓口の強化を早急に進め、学生に関わりのある事柄について共に考える仕組みの構築に向け検討を開始するとした。

 国立大学の授業料は、文部科学省が定める標準額(53万5,800円)の2割増の範囲内で各大学が定めることになっている。現在、授業料が標準額を上回るのは、東京工業大学の63万5,400円、東京藝術大学・千葉大学・東京医科歯科大学・一橋大学・東京農工大学の64万2,960円。

 東京大学の値上げに対しては、学生や教職員らから反対の声があがっているほか、全国の国立大学への影響も懸念されている。