巣鴨監獄に根津山…チョー田舎に建てた池袋駅

AI要約

外回り電車の運転士が目白駅で帰り支度を始める。次の池袋まで運転し、交代の運転士が待っているが、すぐに帰宅することはまれ。

目白駅付近の切通しや池袋駅の構内の様子。外回り電車は7番線へ進入し、池袋運輸区で運転士の交代が行われる。

池袋駅周辺には車両基地があり、運輸区や派出所として機能。池袋駅は山手線の運転上、重要な拠点である。

巣鴨監獄に根津山…チョー田舎に建てた池袋駅

外回り電車が目白駅に着くと、運転士は“帰り支度”を始める。わずかな停車時間中に、携行していた業務用タブレット端末をカバンにしまったり、運転台に掛けていた懐中時計をポケットに入れたり。次の池袋まで運転すれば、交代の運転士が待っているのだ。とはいえ、そのまま帰宅できることはまれで、たいてい一定の休憩時間ののち、また乗務するのだが。

目白駅付近の切通しは西武池袋線が頭上を横切る高架橋のあたりで終わりをつげ、そこを過ぎれば視界が開けて池袋駅の構内は目前だ。右手に立つ五つ目玉の信号機は山手貨物線用である。山手線のほうは信号情報を運転台で受信するシステムなので、線路わきに信号柱はない。外回り電車は、次の行路を担う運転士がスタンバイする7番線へと進入する。

池袋には、山手線の運転士や車掌が所属する池袋運輸区が置かれており、原則として外回り電車の運転士は、ここでチェンジする決まりだ。車掌の交代要員は内回りの担当である。反対に、外回りの車掌や内回り運転士の入替わりは、大崎運輸区が所在する大崎駅でなされる。山手線一周を1時間余りかけてひとつの仕業を務めるが、運用の都合などで交代なしの継続業務や内・外回りが逆になる例外もなくはない。

乗務員区ばかりでなく、池袋駅の最寄りには車両基地も設けられている。駅の北方、埼京線が首都高速5号線をくぐった先の東側に布陣し、東武東上線の北池袋駅至近だ。1917(大正6)年に開設され、以前は池袋電車区という独立機関だったのだけれど、現在は大崎駅に隣接する東京総合車両センターの「池袋派出所」の位置づけである。

常用の7番線ホーム向かいの8番線が、車両基地への入庫や出庫してくる始発電車用で、内回りの場合は常用が6番線、基地への出入りには対向の5番線が使われる。いずれにしろ池袋駅は、乗務員というヒューマンウェア、車両というハードウェア両方の拠点を備えた駅であり、山手線の運転上、大崎駅とならぶ要の存在だ。