エアコンの電気代節約のため「ドライ機能」を使っています。友人から「ドライは冷房より高い」と聞いたのですが、本当でしょうか? 電気代はどれだけの差になりますか?

AI要約

エアコンの除湿機能には3つのタイプがあり、それぞれ消費電力が異なる。

除湿機能の種類によって電気代が変わり、冷房よりも除湿の方がお得な場合もある。

冷房や除湿の適切な使い方で電気代を抑えることができる。

エアコンの電気代節約のため「ドライ機能」を使っています。友人から「ドライは冷房より高い」と聞いたのですが、本当でしょうか? 電気代はどれだけの差になりますか?

エアコンが欠かせない、非常に暑くジメジメとした日が続いています。部屋にいる間、エアコンをつけっぱなしにしている人も多いのではないでしょうか。そうなるとやはり気になるのが、エアコンの電気代です。少しでも電気代を抑えるには、冷房よりも除湿を使ったほうがいいのでしょうか。

本記事では、エアコンの除湿機能の基本的な仕組みと、冷房と除湿とではどちらの電気代がお得なのかについて解説します。

エアコンの除湿機能は3つのタイプがあり、それぞれ消費電力が異なります。まずはそれぞれの違いについてみてみましょう。

■弱冷房除湿

除湿する過程で緩やかに冷やした空気を室内に戻す機能です。機器によってはドライと表示されている場合もあり、除湿しながら部屋の温度も少し下げることができるので、一般的に広く使われています。ただし、あくまでも湿度を下げることが主な目的なので、気温が高く部屋の温度をしっかり下げたい場合には冷房のほうが効率よく部屋を冷やせます。

■再熱除湿

部屋の温度を下げることなく除湿できる機能です。除湿のために一度空気が冷やされますが、空気を暖めてから室内に戻すため部屋を冷やすことがありません。このように一度冷えた空気を暖める手順を踏むため、他の除湿機能に比べて消費電力が大きく電気代が高くなるというデメリットがあります。

■ハイブリッド除湿

再熱除湿と同じように除湿しながら室温に近い温度の空気を戻すことで、部屋を過度に冷やさずに除湿できる機能です。再熱除湿と違い、除湿して冷やされた空気に部屋の空気を混ぜることで温度調節をします。空気を再加熱しない分、消費電力は再熱除湿よりも抑えられます。

エアコンの種類にもよるため一概にはいえませんが、一般的には消費電力が大きいものから順番に、再熱除湿、冷房、弱冷房除湿またはハイブリッド除湿となります。

冷房と除湿でどの程度電気代に差があるのかを解説します。除湿運転時の消費電力はカタログに明記されていないことが多く、計算による単純比較が難しくなっています。今回は少し古いデータですが、2009年に東京電力が実施した、『エアコンの「冷房」と「除湿」の上手な使い方』という調査結果を参考に比較します。

なお、本調査ではハイブリッド除湿の記載がないため、冷房、弱冷房除湿、再熱除湿の3タイプで比較しています。

■1時間あたりの電気代の違い

それぞれ設定温度24℃で1時間運転したときにかかる電気代は次の通りです。

冷房:1時間あたり11.0円

弱冷房除湿:1時間あたり4.1円

再熱除湿:1時間あたり14.9円

先の結果は、資料発表当時の目安とされていた電力単価である22.86円/kWhで計算されています。現在、全国家庭電気製品公正取引協議会が発表している目安単価は31円/kWhとなっていますので、単純に単価のみ変更すると次の金額になります。

冷房:1時間あたり約14.9円

弱冷房除湿:1時間あたり約5.6円

再熱除湿:1時間あたり約20.2円

■1ヶ月あたりの電気代の違い

例えば、毎日12時間エアコンをつけっぱなしの場合の1ヶ月(30日間)あたりの電気代で比較すると、冷房に対して弱冷房除湿であれば月に3348円安く、再熱除湿であれば月に1908円高くなります。現在は調査当時よりもエアコンの性能が向上しているため、一概にこの通りの金額差が出るとは言い切れませんが、参考にしてください。

除湿機能は方式によって3種類あり、場合によっては冷房よりも電気代が高くなる可能性があります。自分のエアコンがどの除湿方式なのかを理解したうえで、部屋の温度を冷やすには冷房、湿度を下げるには除湿と、目的に合った適切な機能を選択して電気代を抑えましょう。

出典

東京電力ホールディングス株式会社 1 エアコンの「除湿」モードの使用状況(調査結果)

公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 令和4年度 事業報告

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー