静岡の防災意識は高かった! お盆真っただ中の「巨大地震注意」で水を差された現場のリアル

AI要約

8月8日、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を初めて発表。静岡県では混乱が報道される中、現地は夏の雰囲気が漂っていた。

沼津らららサンビーチでは観光客が海やバーベキューを楽しむ平和な風景が広がっており、安全対策も抜かりなく行われていた。

大型スーパーでは防災用品が品薄となる中、市民は買い占めではなく補充を行っており、静岡の高い防災意識が垣間見えた。

静岡の防災意識は高かった! お盆真っただ中の「巨大地震注意」で水を差された現場のリアル

 8月8日、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を初めて発表。大きな被害が想定される静岡県では、花火大会などのイベント中止や、水や食料の買い占めなど、混乱した様子が報道された。お盆真っただ中に水を差された静岡は、どんな状況なのか。日刊ゲンダイ記者が現場に訪れた。

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 14日午前、東京から静岡に向かう東名高速道路はやや渋滞。県内に入ると、幹線道路に設置されている大型LED電光表示板の「巨大地震注意」という文字がまがまがしい雰囲気を醸していたが、意外にも、それ以外は夏の静岡そのものという印象だった。

 伊豆半島の西側の付け根に位置する「沼津らららサンビーチ」には、「練馬」「前橋」などのナンバープレートが並び駐車場はほぼ満車の活況。家族連れを中心に約500人ほどが訪れ、バーベキューや磯遊びを楽しむ穏やかな時間が流れていた。

「ここは、駿河湾の入り組んだ場所で、台風のときでも荒れないくらい波が穏やか。しかも、地形柄、すぐ裏に避難高台となる山がある。静岡は場所によって被害想定が大きく違うので、そうした情報を知って遠方から来てくれるお客さんも多いです」(施設長)

 観光客に向けてハザードマップを配布し、黄色い旗や立て看板を設置するなど注意喚起はバッチリ。ビーチは、民宿や飲食店など周辺産業の経営に大きな影響を持つため、「安全の確保と情報の発信には責任感を持っている」と施設長は言う。

 非常時の観光客の対応について、沼津市危機管理課係長は「市内では、最大4000人の帰宅困難者が出ることを想定して、観光客の皆さんの分の食料や水を提供する準備をしている。駅周辺の大型施設と連携して避難先も確保しています」と回答。危機対策と観光を両立するための官民の連携が印象的だった。

■買い占めではなく補充

 市内には、もう一つ車の出入りが激しい施設があった。全国チェーンの大型スーパーだ。店内には、「お1家族2Lの水2ケース(12本)まで」「お米 1家族2点まで」との張り紙が陳列棚に掲示。電池や懐中電灯などの備蓄用品も品薄状態だったが……。

 大きな荷物を抱えた3人の親子連れに話を聞くと、「買い占め? 違う違う、これはバーベキューですよ。前々から備蓄はしっかりしているのでいまさら慌てません」と、父親が笑顔で答えた。車の多さの理由は「お盆特需」のようだ。また、市内のコンビニで出会った70代男性の弊紙読者は「慌てて買い占めしている人は、そんなにいないんじゃないの。これを機会に補充しようってみんなが買い足しているんだと思う」と言い、県民の防災意識の高さが垣間見えた。さすがは、全国有数の防災意識の高さを誇る静岡だ!